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「倭僑」の製造が日本の未来を変える

グローバル展開で勝つ人材の活用・育成

  • 小林 慎和

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2010年9月2日(木)

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 なぜ日本は途上国市場で負けるのか。製品の問題か。プロモーションの問題か。企業のグローバルガバナンス、マネジメントの問題であろうか。そのどれもが、日本が負けているという現状の理由の一部ではあるだろう。しかし、最も大きな問題は、人材なのではないだろうか。

 「華僑」という言葉を聞いたことがある方は多いだろう。正確な統計も定義もないわけだが、全世界に華僑は約6000万人いると言われている。中国は言わずと知れた人口が世界最大の国であるのだが、海外の人的なネットワークという意味でも世界最大を誇っている。中国人が海外でビジネス展開する際に、こうした現地に根ざした華僑ネットワークが大きな役割を果たしていることは否めない。

 同様に、印僑(海外で根づき生活しているインド人)は、約1500万人と言われている。シリコンバレーでは3人に1人はインド人であり、これまでの多くのIT(情報技術)サービスはインド人の手によるところが大きい。約1500万人のインド人のうち、アフリカ大陸には約300万人の印僑がいる。こうした印僑が、インド企業のアフリカ進出の際に大きな役割を果たしていることもまた、事実である。それに対して、アフリカ大陸にいる日本人(永住者・長期滞在者)は1万人もいない。日本がアフリカで出遅れている所以である。

 グローバル展開をしていく場合、現地法人にどこまで事業経営権を渡し、現地に根ざした事業展開をできるかどうかということは、もちろん大きな課題である。その一方で、やはり「同胞」が多いにこしたことはない。同胞である在留邦人のいない土地の中で、事業を始める難しさは、想像を超えるものがあるだろう。

 では、なぜ韓国は新興国で勝っているのか。製品やプロモーション、またはグローバルガバナンスの観点でもその根拠を語ることができるが、今回は人材の活用・育成の仕方にフォーカスしてみたい。

 韓国は、人工的に「韓僑」を製造し始めたのだ。

 下図は、日本と韓国の人口1000人当たりの海外在留人口の推移である。2002年時点では、1000人当たり5人と同程度であったものが、5年の間に3倍の差をつけられている。まだ公式な人口統計が発表されていないが、2010年現在では4倍の差をつけられていてもおかしくないだろう。

 韓国の人口は約4800万人で、日本は約1億2700万人である。約2.5倍の差がそこには存在する。海外在留人口は絶対値でみても、韓国人は日本を上回った。具体的には、2007年時点で日本の在留邦人数が約75万人であったのに対して、韓国の在留人口は80万人を超えたのである。

 2010年3月の日本経済新聞の朝刊で、「サムスン さらに奥地へ」というコラムが掲載された。サムスン電子は以前より、現地専門化制度という人事制度を設けていた。これは、本人が希望する国(基本的にどの国でもいい)に1年間赴任し、その国を理解するというミッションが与えられる制度である。現業のラインからは外される。営業活動をする必要も原則ない。

 筆者は、その制度を活用して日本に来ているサムスン電子社員にインタビューしたことがある。その社員は、「毎週おいしいラーメンを食しては、本国に日本のラーメンレポートを送っている」と言っていた。半分は冗談だとしても、その国とはどのような国なのか。どのような文化が根づき、何が流行し、人々はどのように生活しているのか。滞在する国の真髄を理解することが第一のミッションなのである。

 これまでの対象国は、基本的にどの国でもいいとはいえ、サムスン電子にとって重要な市場となる欧米諸国、中国や日本などが中心であった。それが今回はナイジェリア、モザンビーク、グアテマラなどエレクトロニクス市場としては未開拓の国々を選出し始めたという。その数23カ国に上る。

 派遣するのは、第一線を退いたシニア世代ではなく、30代前半の脂が乗り切った若手社員たちである。サムスン電子のこの戦略は、世界中の国々に、韓僑を製造しようとしているのである。韓国の企業は、華僑と印僑というこの巨大な2大勢力に対抗するために、こうした人事戦略を実行に移しているのである。

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