「ソーシャルネット経済圏」

「アメーバピグ」は世界を目指す

サイバーエージェント藤田社長「ネット企業も最後は技術で勝負する」

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2010年10月1日(金)

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 サイバーエージェントが運営する、自分の分身(ピグ、右が一例)をネット上で遊ばせる仮想空間「アメーバピグ」が急成長している。

 昨年サービスを開始したアメーバピグの会員は日本で400万人を突破し、すでに国内最大の仮想空間に成長。さらに海外向けの同種の英語版サービス、「アメーバピコ」も半年間で200万人を突破する好調ぶりだ。「アメーバピグ」を含む多様なネットサービスを提供する「アメーバ」の会員は総計1000万人を超えた。一方で、自前のソーシャルゲーム開発にも力を入れるなど、虎視眈々とソーシャルメディア企業への足場を固めつつある。

 「この1年で突然、道が開けた」と藤田晋社長。日本のネットビジネスに長年身をおいてきた同氏に最近の躍進の秘密を語ってもらった。

(聞き手は小瀧 麻理子=日経ビジネス記者)

―― 「アメーバピグ」の国内での成功に続き、英語版アメーバピグである「アメーバピコ」も米国など海外でとても人気ですね。

サイバーエージェント藤田晋社長(写真:陶山勉、以下同)

 藤田 実はサイバーエージェントはこれまでは海外では苦戦の歴史なんです。

 まず2000年くらいに韓国でネット広告代理店事業をやってみたもののうまく行かず撤退。中国も子会社を通じて3回ぐらいやったけれど、全然だめで。中国版着メロなんかも全然だめで。米国でも何も始められなかった。

 ところが、今回は違う。

 世界最大のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、米フェースブックがプラットフォームの公開に踏み切ってくれたので、当社としてはアメーバピコをそのインフラの上に乗せるだけでよかった。

 これまでならば米国でサービスを始めようとする企業は、独自のドメインを取得したり、マーケティング戦略を立て直したり、非常に手間がかかり、事業進出のハードルが非常に高かった。今は足場はすでに用意されており、フェースブックアプリとして提供するだけで人が集まる。これは今までと全然違いますね。

必死に変化に食らいついていったこの1年間

 アメーバピグを始めたのが昨年2月で、アメーバピコは今年3月ですが、本当に去年1年間でものすごい変化があった。ここ最近はこの変化に必死に食らいついていっているような感覚で、俯瞰してみるような暇もなかったけれど、新たな市場や金脈が突然現れたんです。

 2004年にブログだとか、SNSが出てきて、ウェブ2.0と言われ始め、ネットの世界がいったんガラッと変わりました。でも、最近、さらに大きな変化が起きている。ポータル(玄関)サイトとか言う言葉、全然聞かなくなりましたよね。まずポータルサイトに誘導し、そこに用意されているサイトに飛んでもらおうなんて発想は全然なくなった。デバイスも、パソコンやノートパソコンから、スマートフォンへと変化している。

 ツイッターやフェースブックなど、ソーシャル(知人・友人)関係を軸にしたネットサービスが一気に広まり、ネットサービスを世界的に提供しやすくなった。その流れの中でアメーバも急成長しています。

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 かつて消費市場には、「マス(大衆)」が存在した。「中流」を別名としたそれは、大量消費・大量生産のビジネスモデルを支える存在でもあった。だが、豊かさが一通り行き渡り、社会が多様化することで、マスは徐々にその姿を変え、しまいには消滅してしまった。
 拍車をかけたのが、インターネットの登場だ。1990年代後半から急速に普及し始めたインターネットは、個人をのみ込み、さらなる多様化を進める原動力となった。匿名性を特徴とするネットでは、玉石混交の「情報」だけが行き交い、企業はますます、顧客を見失った。
 だが今、その“顧客消滅”の時代が終わろうとしている。顔の見えない情報の集合体だったネット上に突如、個人が立ち現れた。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)という、個人と個人をつなぐ“新しい社会”がネットに出現したからだ。ウェブという情報の網目が、人間の網目に変化した瞬間だ。しかもかつてのマス以上に見えやすい存在として。
 デジタル情報を身にまとっているだけに、企業が利用できる情報は膨大だ。今、マーケティングが、モノが、そしてサービスが、大きく変わろうとしている。

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