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「垂直統合モデル」として産業輸出する方策を考えよう

日本のケータイ産業が採るべき道《後編》

  • クロサカ タツヤ

バックナンバー

2010年10月7日(木)

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 アジア最大級と謳われるIT(情報技術)・家電の展示会「CEATEC」開催に合わせて、国内外のメーカー各社が続々と意欲的な新製品を発表してきている。タブレット型(パッド型)端末だけに絞っても、東芝の電子書籍端末投入に続き、韓国サムスン電子も「Galaxy Tab(ギャラクシー・タブ)」を発表。この領域が米グーグルのAndroid(アンドロイド)を軸として活況を呈していることを改めて裏付けている。

 またシャープも、電子書籍端末の「GALAPAGOS(ガラパゴス)」に続き、KDDIが提供するスマートフォン「IS03」を発表してきた。Androidベースの同端末が注目を集めているのは、一見、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に似た端末でありながら、おサイフケータイやワンセグ、赤外線通信機能、日本市場に合わせた機能を搭載してきていることだ。

 こうした機能強化について、一部には「スマートフォンのガラパゴス化」と揶揄する向きもあるようだ。しかし筆者は今回の製品コンセプトを率直に評価したい。前回(「なぜシャープはあえて『ガラパゴス』と名付けたのだろう」)でも触れた通り、投入する市場に見合ったローカライゼーションは、製品の満足度を高めるのには当然の配慮である。逆に、現実として日本の消費者の多くがこうした機能に親しんでいる中で、それを真っ向否定するというのでは、商いの道理に反する。

 それに、こうした機能の多くはモジュール化が十分進んでおり、投入市場の特性に応じて脱着すること自体は、コスト面も含めてそう難しい話ではない。おサイフケータイがインフラとして存在しない国に投入する時は、単純にその機能を外せばいい。そうした柔軟性の実現こそが、モジュール化とデジタル化の本領でもあろう。

かつての勢いを取り戻しているようだが・・・

 iPhone/iPad(アイパッド)に遅れを取ってきた日本勢が、Androidという黒船に自ら乗り込むことで、かつての勢いを取り戻し始めているように見える。では、日本勢はここから一気呵成に海外市場に打って出ることができるのか。そうあってほしいと願っているが、現実は厳しい。

 前回、日本勢がこの10年間で世界市場における停滞を余儀なくされた背景の一つとして、国内と海外の3Gインフラ普及の「時間差」に触れた。しかしここに来て、先進国の多くはもちろん、中国やインドなどの新興国でも、3Gインフラの普及が急ピッチで進んでいる。ならば、日本勢がこれまで国内市場で額に汗して蓄積してきた技術やノウハウをアピールする、絶好のタイミングであることに違いはない。

 しかし、日本のメーカーが、自らの製品で提案する価値観やビジネスモデルを共有できる市場は、残念ながら世界中にそれほど多くない。その理由は、日本のように通信事業者を中核に据えた、垂直統合型のエコシステムが成立していないからだ。前述のIS03を例に引けば、KDDIのように手塩にかけてサービスを育ててくれるようなプレイヤーは少数で、世界の通信事業者の多くはコンテンツ調達やプラットフォームを作りきる器量がない。

 となると、端末メーカーやサービスプロバイダーが、その役割を担わなければならない。それが現在、世界中でアップルやグーグルが台頭している理由でもある。彼らが成功したのは、単に気が利く存在だったというだけでなく、通信事業者の相対的な体力低下とインフラや端末の能力向上の間に生じた「エアポケット」に、うまく入り込めたということなのである。

 一方、日本の端末メーカーが海外市場に打って出るには、彼らと直接対峙しなければならない。つまり、単に端末を作っていればいいというだけでなく、自らコンテンツを集め、またそれを流通させるための動きや仕組みが、同時に求められるということである。これがそう簡単には実現できない難題であろうことは、本連載の読者であれば、うすうすお気づきであろう。

 もちろん、通信事業者が中心となってエコシステムを形成・維持している市場が、日本以外にもいくつかはある。そうした市場であれば、製品ひとつでなんとか商売にはなるところだろう。ただそこは、いみじくも日本市場がそうであるように、既に従来からの商流でガッチリ抑え込まれている。そこをこじ開けて自らのポジションを得ていくのは一筋縄ではなく、相応の覚悟が必要だ。

 また、モバイルアプリケーションの共通化団体であるWAC(Wholesale Applications Commuty=ホールセール・アプリケーションズ・コミュニティ)のように、世界中の通信事業者同士で徒党を組んで、プラットフォーム機能を共有・提供する、という動きも出てきている。ただこれが新たな基盤になれるのか、あるいは船頭多くして船山に登ってしまうのかは、まだ分からない。

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