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KDDIはSkypeでパンドラの箱を開けたのか?

「コネクション・マネジメント」という新たな役割

  • クロサカ タツヤ

バックナンバー

2010年10月21日(木)

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 去る10月18日に開催されたKDDIの新機種発表会で、インターネット電話サービスのスカイプ・テクノロジーズと提携し、スマートフォン向けに専用の通話ソフト「Skype au」を提供することを明らかにした。KDDIは今後Skypeを全面的に導入し、スマートフォンのラインナップへの採用はもちろん、ケータイのみならず同社の固定回線サービスやケーブルテレビにも広げていく構想を描いているようだ。

 これに先駆けて開催された、10月4日にKDDIが投入する新型スマートフォン「IS03」の発表会で、KDDI次期社長に内定している田中孝司専務が「『禁断のアプリ』を近日発表する」と予告し、あちこちで話題をさらっていた。その新サービスは、一部で予想されていた通りSkypeだったということだ。

 一方、通信事業者のSkype採用は、ケータイ業界では大きな反響を呼んだ。通信事業者のビジネスモデルや出自を知る人であれば、チャリンチャリンとお金が落ちてくる従来のビジネスモデルを毀損するかように見えるSkypeの全面採用を、契約数純増の伸びが鈍化しており、スマートフォン対応でも出遅れた感のあるKDDIの失策なのでは、と否定的な見方も根強い。

 実際、パンドラの箱を開けてしまった可能性は、確かにある。田中氏自らも禁断のアプリと呼ぶように、通信事業者にとって大きなチャレンジであることは間違いない。ただそこには、リスクを取ってでも先に進まなければならないケータイ産業の事情と、先手を打てる余裕のあるうちにリスクをヘッジしながらチャレンジを続けようとするKDDIの深謀遠慮がうかがえる。

実はニーズが高度化している音声通信

 本連載の読者、すなわち日経ビジネスオンラインのようなウェブ媒体で、ケータイ産業に関する記事に関心のある方であれば、現在のケータイ産業について、おそらくこんなふうに考えているだろう。産業全体のトレンドはスマートフォン中心で動いており、個人ユーザーの市場が飽和した現在、データ通信をどのように伸ばしていくかがあらゆるステイクホルダー(利害関係者)に共通する命題で、音声サービスはいわばレガシーに近い、と。

 こうした認識は概ね正しいし、スマートフォンが与えるインパクトやデータARPU(契約当たり月間平均収入)の拡大傾向については本連載でも度々触れてきた。ただ一方で、通信事業者のマーケティングや販売の現場をよくよく眺めてみると、例えばどうもこうしたマクロトレンドとは違う風景が見えてくる。データARPUの向上が関心の中心であるはずなのに、なぜ通信事業者は「無料通話」を盛んに競うのか。あるいは法的整理に入るほど追い込まれているように見えるウィルコムの、音声サービスを意識して設計された端末「HONEYBEE」が、あまり話題にならないにも関わらず、なぜ売れているのか。

 確かにARPUだけを見れば、音声ARPUは減っている。そして様々なステイクホルダーがサービスを競えるデータ通信ではなく、基本的に通信事業者がすべてを収穫する音声サービスは、話題性に乏しい。しかしこれらの傾向は、音声サービスに対するニーズの低下を必ずしも示すものではない。ARPUの減少は無料通話などの競争激化の影響とも言えるし、話題性に乏しいのはこれだけ一般化したサービスなのだからむしろ当然である。

 やや回りくどい言い方をしたが、要は音声サービスに対するニーズは、実は根強いのである。確かに周囲を見渡せば、街中で音声通話をしている人を見かけないことはないし、だからこそ電車やバスの車内での通話が相変わらず議論の的となっている。また固定電話の契約数が減少していることや、110番・119番のケータイ発の通報が増えていることなどから考えても、音声サービスに対するニーズは、むしろ要求水準が高まりつつある、とさえ言える。

 以前、業界に明るいマーケティングプランナーに、こんな話を聞いたことがある。ケータイ利用の実態調査を行ってみると、例えばウィルコムやKDDIのガンガントークのようなサービスは、学校を終えた高校生や大学生の恋人や友人同士が、帰宅してから就寝するまで、ずっと接続しっぱなしという使われ方をしているというのだ。そしてそれは、接続中にずっと会話をするわけではなく、別々のテレビを観ている時の笑い声や勉強している時の鉛筆の音など、生活空間の環境情報の共有に使われているのだという。

 通信インフラや通信事業者の収益構造を理解している者としては、この話を聞いた時、そんな無茶な利用スタイルではたまったものではない、と正直思った。しかし前述のプランナー氏によると、ソフトバンクモバイル(以下、SBM)のホワイトプランが24時間通話無料ではない(午後9時~午前1時は有料である)ことをネガティブ要因に挙げる消費者も少なからず存在するという。それほどまでに激しいサービス競争が、既に日常のものとなっているのだ。

LTEを見越した音声サービスのマイグレーション

 こうした音声サービスに対するニーズが厳しさを増す中、それでも音声サービスを一定水準以上の品質で提供しなければならないのであれば、通信事業者としては様々な施策を打っていかなければならない。その経営判断をすべきタイミングに来たというのが、今回のKDDIによるSkype全面採用の大きな意味だろう。

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