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豊かな現場経験こそプロフェッショナルの原点

船の試運転で現場感覚を身に着けた

  • 宮田 秀明

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2010年11月5日(金)

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 東京駅のホームのキオスクでサントリーホワイトのポケット瓶を買って夜行列車に乗った。ある造船会社の20代の社員だった私は、広島の呉や兵庫の相生で建造され完成した船の試運転に立ち会う仕事が多かった。いつも夜行列車を使う強行軍だった。3段ベッドの寝台車で熟睡するのは難しかったから、まずサントリーホワイトを180ミリリットル、270円ぐらいだったろうか…を飲んで、眠って体力を養っておこうと思ったのだ。だから今でも東京駅のプラットホームには、他の駅とは違った、不思議な親近感がある。サントリーホワイトには今でも懐かしさを覚える。

 最初に試運転に立ち会ったのはコンテナ船だった。2000個のコンテナを日本から北米東海岸へ運ぶための船だ。そのころはスピード競争が激しくて、この船の最高速度は30ノット(時速55キロ)を超えていた。エンジンは7万5000馬力の巨大なものだった。普通の商船では、速度を上げるとき、飛行機や車のように加速度を感じることはない。しかし、このコンテナ船は加速度を感じさせてくれるほどだった。向かい風で走るときはデッキに出ることはできない。風速が毎秒30mにもなったりするからだ。

 この、デンマークの有力なコンテナ船運航会社向けの、当時では最大のコンテナ船は、相生を出向して明石海峡を抜け、大阪湾から紀伊水道へ南下し、和歌山と徳島の南端を結ぶ海域で試運転を行った。2泊3日ぐらいの行程だった。

試運転、淡路島付近で大量の漁船に遭遇

 船は長さ2メートルぐらいのものから長さ400メートルぐらいのものまである。あまりに大きさが違うものが同じ海域に存在すると、これが危険の原因になることがある。このコンテナ船が船舶の輻輳する明石海峡を無事通過し、南に変針したときだった。淡路島の南東の海面つまり私たちの乗るコンテナ船の前方に無数と言っていいぐらいの漁船が行く手をふさいでいたのだ。

 私は船橋で近くにいるドックマスター(造船所の試運転時の船長、つまりテストパイロットみたいな人)の顔を見た。百戦錬磨のドックマスターの顔に緊張が走った。クラッシュアスターンという緊急停止操船をするのかと思ったが、それはリスクの高い操船だった。その運転モードは、これからの試運転中にテストする予定だったからだ。

 ドックマスターは号令した。

 「ハードスターボード」

 舵をいっぱいに切って急旋回したのだ。回転直径は700メートルぐらいになるから、淡路島の浅瀬に乗り上げないようにしなければならない。だが、無事360度旋回して速度を落とし、漁船群を迂回して南下することができた。

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