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神話が崩れ、トヨタは普通の会社になった

危機意識とお客様目線を学び直さないと、再び輝けない

2010年11月18日(木)

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 米国、中国、インドなどで販売を急速に伸ばし、グローバルにシェアを急拡大する韓国の現代自動車。「ソナタ」に代表される乗用車が主力で、トヨタ自動車など日本勢を脅かす。

 現代自とトヨタを米国で研究する韓国・中央大学のウィ・ジョンヒョン教授。日韓の企業経営に詳しい『日本再生論』(エンターブレイン)の著者が、現代自との比較から、トヨタの課題を分析する。

(聞き手は山崎 良兵=日経ビジネス記者)

―― 米国で現代自動車と傘下の起亜自動車がシェアを急拡大しています。一方、大規模な品質・リコール(回収・無償修理)を経験したトヨタ自動車の販売は伸び悩んでいる。米国の自動車市場の変化をどのように分析されていますか。

ウィ・ジョンヒョン(魏晶玄)
1987年ソウル大学卒。東京大学大学院で博士号取得後、韓国・中央大学経営学科准教授。現在カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員教授。日韓の企業経営に詳しく、著書に『日本再生論』(エンターブレイン)がある(写真:山田愼二)

 ウィ・ジョンヒョン 私は米国で現代自とトヨタを比較研究しており、品質・リコール問題が注目された今春以降、両社の幹部、販売店、ユーザーを多数取材しました。

 まず現代自の競争力が着実に高まっていることは、客観的な調査データからも明らかです。

 例えば、米全国紙の「USAトゥデー」が5月に報じたセダンの比較調査では、現代自の「ソナタ」が1位でした。トヨタの「カムリ」は2位で、ホンダの「アコード」は5位。自動車の専門家が座席、視認性、ブレーキ、アクセル性能などを評価したものです。現代自は、品質や性能で、日本メーカーに劣っているというイメージがありましたが、専門家の分析によると逆転しつつある。

 驚くべきなのは、同紙が同時に行った消費者への調査でも、ソナタが1位になったことです。イメージ調査の意味合いが強いのですが、一般的な米国人の意識も変化し、現代自のブランドイメージは大幅に向上しています。

 このような米国人の意識の大きな変化が、トヨタの販売低迷と現代自のシェア拡大の背景にあります。

―― しかしトヨタのクルマは、ずっと米国で高く評価されてきました。危機に直面したとはいえ、短期間にそこまでイメージが変化するのでしょうか。

 米国ではトヨタというブランドに対する“神話”がありました。米ゼネラル・モーターズやフォード・モーターとは別世界の高い品質を持っている。尊敬の念をこめて、「完璧なクルマを作る会社」とまで言われていました。

トヨタ車を買ったのは「賢い消費者」

 トヨタやレクサスのクルマに乗る人は、高いプライドを持って選ぶ場合が多かった。使い捨てでなく、中古車になっても価値が高いクルマを買っており、自分たちは「賢い消費者」だと考えていました。

 例えば、ハイブリッド車の「プリウス」に乗る人は、環境に対する配慮が高いという自負があります。レクサスに乗る人も、ライバルのメルセデスベンツやBMWに乗っている人とは違うという意識を持つ人が目立っていた。単なるお金持ちのブランドではなく、品質も性能もいいレクサスを選んだという誇りを持っていたように思います。いわゆるプロフェッショナルと呼ばれる弁護士や会計士などのユーザーが、トヨタのクルマを熱心に支持してきました。

 なぜトヨタ神話が存在したのか。米国の消費者は、従来クルマの陰に隠れていたトヨタという会社が見えなかった。クルマを通じてトヨタの強いブランドは築き上げられていきました。しかしトヨタの大規模なリコールを見て、消費者はハッと気づいたのだと思います。

 クルマではなく、企業としてのリコール問題に対する姿勢や米議会の公聴会に出席した経営陣の姿を見て、「果たしてトヨタとは何者なのか」を考えるようになった。伝説の会社でいいクルマ、完璧な製品を作ってくれるというイメージは壊れ始めている。

 「やっぱりトヨタも普通の会社だ」「GM、フォード、現代自と変わらない普通の自動車メーカーにすぎない」と多くの人は思ったことでしょう。

 幻想が消え、トヨタが普通の会社であることが露呈してきた。トヨタの販売力が急激に落ちることはないと思いますが、長期的に見てトヨタの神話は崩れつつある。目先の販売台数や今年、来年の問題でなくて、長期的に影響が出てくるはずです。

―― トヨタの課題はどこにあるのでしょうか。何を「カイゼン」すべきだとウィ先生はお考えですか。

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「神話が崩れ、トヨタは普通の会社になった」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス記者

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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