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先細るローカル放送局が地域の民主主義崩壊をもたらす?

言論の多様性を護る試金石としての「ラジオ業界再編」

  • 寺田 知太

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2010年11月25日(木)

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 放送局の経営環境が厳しい中、よく議論を巻き起こすのが「テレビ離れ」である。「テレビを持っていない若者が出始めた、もうテレビは終わった」という議論が投げ掛けられると、「統計によると国民のテレビ総接触率はほとんど変化がない、テレビ離れは世の中のほんの一部だけだ」と切り返す。そこで、「テレビ離れが起こっていないなら、テレビ広告が減るのはおかしいじゃないか」「いやいや、BSデジタルは伸びている」と混ぜっ返す向きが登場して、議論はあらぬ方向へ向かっていくのが常である。

「テレビ離れする」購買力のある層

 そんな議論に、筆者から一石を投じてみたい。野村総合研究所が昨年度全国1万人を対象に、「この1年間で、民放テレビを見る時間が増えましたか?」と尋ねた結果を、年代と世帯年収ごとに集計したものが以下のデータである。先に注釈しておくと、このアンケートにはインターネットを利用していない人々も含んでいる。

 世帯年収が下がるにつれ、年代が上がるにつれ、「この1年間で民放テレビを見る時間が増えた」と答えた層が増加している傾向が見てとれる。この傾向は、男性・女性別に分けてみても同じ傾向にある。ちなみに、同様の分析を新聞やインターネットを対象にも行っているのだが、その結果については別の機会でご紹介したい。

 この結果だけで議論することは、決して学問的な検証に耐えるものではないが、それでも一つの仮説に思い至ることは可能である。

国民全体のテレビ総時間量は減っていない
高年齢層と低所得層のテレビ視聴が増え、そうでない層のテレビ視聴は減っている
すなわち、購買力のある(=広告主がアピールしたい)層のテレビ視聴は減っている
結果として、テレビ広告収入が減少している

 このようなストーリーが導き出されるのだが、いかがであろうか? 国民全体ではテレビ離れは(まだ)起こっていないが、購買力のある層についてはテレビ離れが起こっている、という仮説である。

 「メディアは、ほかの産業とは違うからね」

 情報通信の世界のコンサルタントとして、業界の末席を汚している筆者がこれまで何度も耳にしてきた言葉である。

 上記のようなデータや様々な傍証を基に、「マスメディアは今のままの経営ではもたないのではないでしょうか?」「業界再編が必要なのではないでしょうか?」と、何年にもわたって投げ掛けてきたのだが、その都度、皆様からお叱りを受けてきたのである。

 「メディア再編の話は、30年前からあるが、動いた試しがない」

 「メディアの素人に、とやかく言われたくない」

 「そんな話はどうでもいいから、視聴率(売り上げ)を上げる方法を教えろ」

 全くもってごもっともなお話ではあるのだが、メディアの素人だからこそ、傍目八目で見えていたり、ドン・キホーテのように言えたりすることもあるのではないかと。

 聞いたことのないようなベンチャー企業から想像すらつかなかった新しいサービスが登場し、マスメディアを差し置いて世間を「あっ」と言わせるニュースを提供したりする。それに対して、「そんなものを使っているのは一部の若者だけで、昔以上にテレビを見てくれる視聴者は増えている」と、得意客向けのサービス強化に邁進する。そして周辺市場をネット系企業に明け渡す、そして気がつけば・・・。

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