「クラウドの先を読む 産業パラダイム・チェンジ」

このままでは日本企業は「IT津波」に押し流される

新興国=ネット後進国という誤解

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2010年12月9日(木)

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これは何のランキング?

利用者上位10カ国
順位 国名 ある値
1 米国 145,331,600
2 インドネシア 31,425,840
3 英国 28,770,560
4 トルコ 23,823,200
5 フランス 20,307,260
6 フィリピン 18,768,040
7 メキシコ 17,821,820
8 イタリア 17,615,900
9 カナダ 17,414,640
10 インド 16,509,680

 次に並ぶ数字が何か、すぐに分かる人はいるだろうか。

 1番は米国。となると、経済規模か。いや、経済規模であれば、2番目にインドネシアが並ぶことはない。3番目は英国で、4番目はトルコ、5番目がフランス、6番目がフィリピンと先進国と新興国が交互に並ぶ。そして、日本が上位10位に入っていない点も特徴的だ。


世界に押し寄せる「IT津波」

 これは、「IT(情報技術)津波」に飲み込まれた人々の数である。米国発のあるウェブサービスの利用者数だ。

 日本人の99%はこの答えを想像できないし、理解も難しい(正直な話、著者も本稿向けにデータを探していて初めて知った)。

 答えは、「Facebook(フェイスブック)」の登録者数上位10カ国である。FacebookというIT津波は、新興国でも猛威を奮っているのである。なお、出所は「CheckFacebook.com」で、Facebookの公表数字ではないが、Facebookの広告オーナー向けデータがベースと言われる。このウェブサイトにアクセスすると、世界各国におけるFacebookの浸透率を緑色の濃さで表現している。北米と西欧のみならず、南米やアジア、アフリカの一部の国で濃い色をしていることが分かる。

 Facebookと言えば、米国発のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である。ということは、このサービスは国境を超えて、ブランド認知が進み、利用者が増え、国を跨って友が友を呼ぶという面白さが伝搬していったのである。

 しかも、上位10カ国には、1人当たりGDP(国内総生産)の大きな国ばかりが並んでいるわけではない。

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 何が起こっているのか。そもそも、1人当たりGDPが1万ドルを下回るような国で、Facebookを利用することなどできるのだろうか。

 著者が以前に執筆した「はるかインドの農村で突撃! 隣の晩御飯?」では、インド農村へ家庭訪問調査を行い、晩御飯をごちそうになるなど宿泊した体験記を著した。驚くことに、農村の多くの世帯でテレビを保有したうえ、有料多チャンネル放送を契約し、20チャンネルもの番組を楽しんでいる。彼らの購買力の豊かさを侮ってはならない。

 本稿ではいかにオンラインサービスが国境を超え、新興国に押し寄せているか、そして、新興国発のサービスが先進国へ輸出され、世界で普及する可能性について論じてみたい。

新興国に存在する“最新のITテクノロジー”

 我々は、新興国の経済状況について、1人当たりGDPで比較することが多い。そして、考える。パソコンなど購入できるわけがない、どうせネットワークインフラも脆弱、オンラインサービスを楽しめるような環境にない、と。

 しかし現実には、1人当たりGDPがいかに小さくとも、我々の想像をはるかに超えるFacebookの利用者が存在する。想像(新興国ではオンラインサービスを楽しめない)と現実(Facebookユーザーが多く存在する)のギャップは何だろうか。

 比較を国単位で行っていたことから、セグメンテーションが粗過ぎたのかもしれない。1人当たりGDPは、あくまで平均値のため、特に人口の多い国は要注意である。実際、2.3億人の人口を抱えるインドネシアを見ると、2009年の1人当たりGDPは2300米ドル程度であるが、1000万人都市のジャカルタに限れば、1人当たりGDPは8700米ドルと、3.7倍もの違いが存在する。同様に、インドの都市/国の比較を示すが、やはり1.8倍弱の違いがある。

インドネシアやインドにおける国/都市平均の相違

  インドネシア インド
  全国 ジャカルタ 都市/国 全国 ムンバイ 都市/国
人口(100万人) 232 9 4% 1199 22 2%
GDP(10億ドル) 539 80 15% 1237 40 3%
1人当たりGDP(米ドル) 2329 8706 374% 1032 1831 177%

出所:IMF、各国統計局データより野村総合研究所作成

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著者プロフィール

高田 広太郎(たかだ・こうたろう)

高田 広太郎野村総合研究所情報・通信コンサルティング部副主任コンサルタント。電機、情報・通信産業全般を事業領域とし、その中で主に携帯電話市場、情報サービス市場における事業戦略コンサルテーション、組織改革、営業改革、マーケティング戦略、アライアンス支援に従事。アジア他新興国のグローバル動向調査、グローバル展開支援、最近ではBOPビジネスに注力している。主な共著書に、『これから情報・通信市場で何が起こるのか』(2007〜2010)、知的資産創造2010年4月号「ITを活用したソーシャルビジネスは社会変革の起爆剤となる」など。



このコラムについて

クラウドの先を読む 産業パラダイム・チェンジ

クラウドコンピューティングやソーシャルネットワークといった新しい動きが登場するIT・通信業界。それは先進国だけでなく、BOP(ボトム[ベース]・オブ・ピラミッド)として注目を集める新興国を巻き込んでいる。企業や消費者の動向を踏まえながら、進化するハードウエアやコンテンツがもたらすパラダイム・チェンジを解説する。

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