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電波をどう使う? 「とりまとめ」に透ける規制当局の深謀遠慮

10年に1度の「電波利用の再編」がいよいよ動き出す

  • クロサカ タツヤ

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2010年12月9日(木)

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 早いもので、2010年も12月になってしまった。本連載でも、2011年7月の地上アナログ放送停波と、2012年に予定されている周波数再編が、ケータイ業界をはじめとする無線通信の世界において大きな節目となることを、これまで再三お伝えしてきた。その2011年が明けるまで、あと数週間ということである。

 そしてこのタイミングで、無線通信の世界が進む方向性、すなわち「電波の使い方」を決める規制当局の方針が、概ね明らかになった。去る11月30日に「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」とりまとめが報告され、ICTタスクフォース・電気通信市場の環境変化への対応検討部会において、了承された。この報告は、既に一般に公開されている(「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」とりまとめ[PDF形式なので開くにはアドビシステムズの「Acrobat Reader」(無料)が必要です])。

 そこで今回は、この「とりまとめ」を改めて読み解きながら、今後のケータイ業界に与える影響を考えてみよう。

今後5~10年の「大方針」が示された

 まず、そもそも論ではあるが、電波の使い方と規制当局の関係を整理しておこう。実は今回はこの関係そのものを大きく揺るがす「電波オークション(周波数オークション)」に関する事項が、検討内容に含まれているからだ。

 一般に、電波は公共の財産だと言われる。これは、発信者と受信者の間で、周波数や伝播・変調方式、さらにはそれらの特性に応じた地域性や無線局の設置方法などをきちんと揃えないと、そもそも無線通信が成立しないことに由来する。テレビやラジオ、ケータイ、あるいは無線LANなど、普段何気なく利用している電波だが、これらが正しく使われるには、こうした様々な取り決めが厳格に守られていなければ、成立しない。

 従って電波の利用には、その利用範囲の全域を網羅した管理・調整が不可欠である。そのため、ほとんどの国や地域では、政府がこうした調整役を担っている。電波利用の多くが免許制であるのはこのためであり、誰しもが気軽に無線通信を行えるわけではない。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」であろうとWi-Fiであろうと、あるいはワイヤレスマイクであろうと、電波を利用するものはすべてこうした免許制の管理下に置かれている。

 また、アマチュア無線で海外と交信している様子をどこかで見かけたことがあるかもしれないが、周波数や変調方式などによっては、電波が海外(あるいは宇宙)が飛んでいくこともある。そのため単にそれぞれの政府が調整するだけでなく、国際的な調整や協調も必要となる。ITU(国際電気通信連合)はそのための機関であり、定期的に電波利用についての見直しや調整、また技術や通信規格の標準化などを行っている。一度取り決めた電波利用の方針が、そう簡単には変えられないのには、このような事情がある。

 今回の「とりまとめ」は、こうした構造を踏まえ、規制当局がワイヤレスブロードバンドの利用拡大を念頭に、今後日本国内でどのように電波を利用すればいいかを検討し、その結果をまとめた、いわば「大方針」である。すなわちこの先の5~10年の大きなトレンドは、(今後、大きな異論が出なければ)この「とりまとめ」に沿って進んでいくことになる。その意味では、いわば未来予想図のようなものであると考えていいだろう。

国際協調を重視した周波数の割り当て案

 では、この「とりまとめ」では、具体的に何が示されているのか。電波利用の拡大に伴い、検討分野は多岐にわたっているが、ここでは主にケータイ産業に関係するものを紹介しよう。論点は大きく3つで、「700MHz/900MHz帯の周波数利用」と「電波オークションの採否」、そして「2015年という時間軸の設定」である。

 まず、700MHz/900MHz帯の周波数利用については、両周波数帯全体で200MHz前後の帯域のうち、ケータイ向けに100MHz幅を確保することが明確化された。100MHz幅というのは非常に大きなボリュームで、ケータイ産業のさらなる拡大に向け、周波数を潤沢に準備するという規制当局の強い意志が示された格好である。

 比較的使い勝手のいい周波数帯である700MHz/900MHz帯で、それだけ大きなボリュームをケータイ産業向けに割り当てるということの意味は、やはり大きい。というのは、電波はその物理特性上、周波数は低いほうが電波があちこち回り込みやすく、反対に高くなればなるほど伝播の直進性が高まり、ビルの多い都市部などでは使い勝手が悪くなるからだ。

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