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教育クラウドと教育問題を考える

変えるべきは教育の思想と役割

  • 小林 慎和

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2011年1月13日(木)

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 教育の改革が叫ばれている。教育問題。これを語り出すと誰もが一家言ある。なぜなら、すべての人が教育を受けたことがあるからだ。自らの学生時代を振り返り、もっと教育が○○であったなら、今の自分は違っていたのに。誰もがそうした思いをもっているからだ。そこから転じて、教育はもっと○○であるべきだ、と誰もが持論を持つようになる。

 しかし、「教育に頼りすぎてはいけない」。教育にこうあるべきだと思うことは、自らへの甘えであると思う。自らの努力不足を教育に責任転嫁しているに過ぎないのではないだろうか。

クラウド化≠教育問題の解決

 教育クラウド、デジタル教科書。もっぱら議論されているのは、教育コンテンツの何をデジタル化するか、どうデジタル化するか、教育環境をどうICT(情報・通信)化するか、どのような端末を開発するか、そうしたことばかりが並んでいる。現在誰もが感じている教育の問題と、クラウド化すること・デジタル化することは、それほどリンクしていない。

 クラウド化やデジタル化は、学習効率や効果の変化、体験できる学習の種類を変えるだけであり、教育の問題を解決するための最も優先度の高い解決策ではない。例えば、自らの考えを持ち、それを能動的に発言し学生同士が議論し合う。これは多くの親が期待しているが、今の日本の教室ではなかなか見ることができない光景の1つだろう。この解決策は、決してクラウド化やデジタル化ではない。この光景につながる1つの方法論として「異学年学習」という教育方法がある。

 この「異学年学習」とは、読んで字のごとく、同学年・同級生だけではなく、異なる学年の生徒を同時に教えることである。この教育方法では次のような面白い現象が起きる。ある予備校教師の話である。

 受験戦争のど真ん中で、「勉強のテクニック」ばかりを教える予備校教師。彼自身もそんな教育の在り方には大きな疑問を持ってはいるが、生きていくための「仕事」として予備校教師という立場を演じている。一方、土日には自らの「私塾」を立ち上げており、近所の小学4年生から中学3年生程度を相手に勉強を教えている。正確には「勉強する場」を提供している。

 この私塾では次のようなシーンが毎日起こる。小学5年生が算数の問題で分からないところをその教師に質問に来る。教師は、アイツに聞けと中学2年生の生徒を指さす。子供には子供のプライドがある。少し上の先輩に、自分はバカだと思われたくない。少し下の後輩に、自分はバカだと思われたくない。それゆえに、下の学年の生徒は先輩に質問する際には、バカだと思われないように勉強して望むようになる。いつか先輩を困らせてやろうと努力する。上の学年の生徒は、後輩の質問に答えを屈するような事態にならないように復習に精を出すようになる。この塾では、教師が教えるよりも、生徒同士で質問し合う生徒ほど学力が向上していくという。

授業内容のオープン化がもたらす恩恵

 少し極端なことを考えてみたい。すべての授業をクラウドにして、すべての人が閲覧できるようにするのはどうだろうか。この効果は絶大である。なぜなら、すべての生徒が、あらゆる教育機関の授業を見ることができるから? そうではない。すべての授業をすべての教師が見ることができることが重要なのである。

 現在の教育は密室である。どのような教育が行われているか。その教室にいる生徒にしか知ることができない。授業をクラウド化し、すべての教師から参照可能な状態にすることは、授業の質を向上させる仕組みとなるのである。

 事実、私も参画しているビジネス・ブレークスルー大学(完全オンラインの大学)では、すべての授業をすべての教授陣が視聴することができる。自らの授業コンテンツがほかの教授に見られるという緊張感が、コンテンツの質の維持につながっているのである。

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