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溢れる低性能EVは、普及のバネが脱法の産物か

現地発(2) 玉石混交の現地メーカーも淘汰が始まる 

2011年1月19日(水)

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 日産自動車・ルノーの提携を揺るがした、ルノー幹部による電気自動車(EV)関連技術の漏えい問題。その流出先として疑われている中国は、自動車大国としてEVの普及に本腰を入れているかに見える。だが、内情を見ると、いびつな面にも気づく。

 例えば、王伝福氏の動きだ。独立系自動車メーカーBYDを立ち上げた立志伝中の人物で、これまでは個人客の手が届くような価格帯のクルマを売り出して業績を伸ばしてきた。これまで民間市場を中心に事業を拡大してきたこの敏腕経営者が、電気自動車となると急に公的な支援をあてにした動きを見せる。政府からの補助金を受けて、タクシーなど業務用の乗用車を中心に開発を進めはじめていることだ。つまり、公的な資金をあてにしなければ、成り立たないビジネスモデルということなのではないだろうか。

 中国は、次の5ヵ年国民経済成長計画(「12次5カ年計画」)において、EV(電気自動車)に戦略産業としての地位を与え、国が力を入れて育成する方向性をほぼ固めた。それに先立つ2008年から10年までの3年間に、中国政府はすでに財政助成金数百億元、日本円にして約1兆円の資金を投入し、EVブームの素地を作った。2012年にも低速低価格EVの技術規格を新たに導入するといわれており、この小型車をEV市場成長の起爆剤とするのが狙いとみられる。

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 このため、2010年11月に深圳市で開催された世界電気自動車大会は、いわば本格レース直前のリハーサルとなり、会場はヒートアップ。主要各社が競ってEV、PHEV製品を発表した。また、既存自動車業界だけでなく、電気鉄道関連、電力会社、電源装置、各種設備関連企業も、EV市場の拡大がもたらす車両部品やインフラ整備の需要獲得を目指して、新規参入の検討を本格化している。

【中国、EV市場をめぐる楽観論と悲観論】

  発言者 役職(当時) 時期 発言内容
楽観論 Frank O' Brien Magnaアジア大洋州担当役員 2010年1月 中国でHV、EV事業を強化する方針を表明。今後中国において新エネルギー自動車の需要が拡大すると読む。中国市場に応じた製品とサービスを提供する。
傅成玉 中海油総経理 2010年5月 2015年までにEV電池の産業規模が1000億元に拡大と見る。
ー中海油が2009年7月に50億元を投じ、「天津力神電池」を設立。
陳清泉 世界EV協会主席 2010年6月 2015年までに、中国のEV保有規模が100万台に達する。
国家科技部 2010年2月 2012年までにEV生産は全体の10%を占めると予測。
2015年までに中国EV生産規模が266万台に拡大。
苗圩 工信部副部長 2010年1月 財政部、科技部、発展改革委員会と提携してEV実用化を推進
陳威旭 上海GM Cadillac担当役員 2010年8月 2011年にVoltec技術のEVを試験的に投入する予定。
中国は世界では最も早くEVが普及する国になる可能性が高い。
悲観論 宋健 清華汽車工程院 副院長 2010年2月 「電池と駆動モーターの技術の現状からは、EVの将来成長性は絶望的と認識。」
伊東孝紳 ホンダ社長 2010年5月 「電池技術がボトルネックとなり、20年以内の普及は難しい。」
調査会社CSM 2010年7月 2015年中国のHV、EV生産は10万台、市場シェアは1%。うちEVが2万台。」

(各種報道より作成)

低性能の鉛電池EV乗用車は起爆剤になるか

 中国のEV市場を分析するため、まずは中国政府が検討しているEV乗用車の技術条件を理解する必要がある。現在審議中とされているEV乗用車の技術条件は、最高速度が時速75km、航続距離150km以上の性能を持つというものだ。この技術条件は、仮整理番号20073623-T-303とされており、本来2008年中に実施の予定であったものの、審議が難航しており正式決定の発表がないままとなっている(2010年10月時点)。だが、この条件が認められた場合は、これ以上の性能を満たしていないものはEV乗用車として認められなくなるとされている。現在、審議が難航している理由の1つとして、技術条件をクリアできないEV乗用車をどうするかの対応が定まっていないことがあるようだ。違法製品とするかどうかで議論が分かれている。

 というのは、中国には鉛電池を使った簡易なEVがすでに大量に普及していることがある。山東省では、鉛電池を積む低速EVが、「構内移動車両」として年間数百台から数千台生産されており、ナンバー登録をせずに公道で堂々と走行している。鉛電池のEVは、エネルギー密度の問題もあり最高速度は時速60kmが限界とされている。大都市で走行すれば、渋滞を起こす要因にもなりうる。

 しかし、地元に鉛電池低速EVメーカーを持つ政府は、地元企業の保護を重視し、事実上違法製品である低速EVを黙認することがしばしばある。そのため、一部の有識者では低速低価格EVに特別枠を設け、地方の低所得者にもモビリティの手段を与えるべきという意見が盛んに議論されている。

 仮に、この「最高速度が時速75km、航続距離150km」をEV乗用車の基本技術条件としてみよう。2010年4月の北京国際モーターショーにおける、各社が発表したEV製品情報を見ると、この条件をクリアしたモデルは15以上、またこの条件を下回るEV製品も8モデル存在している(FOURIN調べ)。

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