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普及台数よりも充電設備の方が多いという過熱ぶり

現地発(最終回) 各地で巨大プロジェクトが続々、インフラ乱立へ

2011年1月26日(水)

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 中国では、EV(電気自動車)充電所の整備やスマートグリッド構想など、EV社会の形成に向けて不可欠とされる巨大インフラプロジェクトが異常といえるほど活発である。「異常」という表現を使う理由は、FOURINの集計によれば2010年時点中国のEVまたはプラグインハイブリッド自動車の保有台数が1万台未満であるのに対し、EV充電施設が1000カ所以上、充電装置(簡易ポール含む)は1万台を大幅に上回ったことが判明したからだ。2010年の中国での自動車保有台数が7000万台であるのに対しガソリンスタントは9万カ所しかない。これと比較しても、EVの保有台数を上回る数の充電装置を整備することが、合理的といえるのだろうか。

1万台を超える充電装置

 その動きを冷静に見ると、各地方の行政当局による地元企業保護主義の横行が浮かび上がる。さらに、巨大利権の獲得を目指す中央直属の石油企業や電力会社による競争の下で、技術規格の統一を置き去りにして、「自由奔放」に整備が進んでいることにも驚かされる。本来、EVは技術規格の共有と統一がなければ、普及しにくい乗物である。しかし、中国で整備が進んでいるEV充電規格は、キャパシティの大きいもので工業電源の380ボルト・120キロワットから、小さいもので一般家庭電源の220ボルト・2キロワットと様々だ。

 2010年11月に深圳市で開催された「世界電気自動車大会(EVS25)」には、EV車両とともに様々な充電装置が出展された。中国企業からは自動車会社が自ら開発した充電装置とは別に、電力会社も自社の充電技術を出展してアピールした。さらに、欧米日韓のサプライヤーも、これまでそれぞれの自国プロジェクトで蓄積してきた充電技術や充電装置を展示。会場には、200台のEV車両に負けないぐらい充電装置が溢れていた。

画像のクリックで拡大表示

 政府の狙いは、EV社会への変革を加速することである。技術が成熟してから普及を促すよりも、試行錯誤を繰り返しながらでも様々な技術的なアプローチを容認したほうが、結果的には早いという胸算用があるのだろう。しかし、かつてのパソコンソフト業界では、当初は乱立していてもマイクロソフトの製品が業界基準として普及し始めると、たちまち競合他社の製品が売れなくなり廃業に追い込まれてしまう会社も出た。これと同じことは起きないだろうか。ガソリン自動車と異なり、EVを駆動するのに必要な電力と交換電池は、統一基準に基づかなければ性能を十分に発揮できない。

整備担当者 整備地域
取り組み
国家電網公司 中国全土 ・2010年末、全国27都市でEV充電所75ヵ所と簡易充電器6209台を設置する計画
・2009年12月、智能電網(V2G)を国家標準にする工夫をしていると報道される
・2010年に電網建設に投資額2274億元で完成させ、智能電網とEV及びEV充電所の建設に注力
EV提携 ・2010年4月22日、BMW、中国汽車技術研究中心とEVの走行テストに関する提携意向書に調印
 
国家電網公司本部
北京市 ・2008年7月、建築面積5000平方メートルの北京奥体中心EV充電所を使用開始。充電設備240台を導入
・2012年までに北京4環線近くにEV充電所4ヵ所を整備する予定。国家電網が整備を担当
・2010年4月26日、北京市電力公司は2010年内に小型EV用簡易充電器を120カ所建設計画
上海市電力公司 上海市 ・2009年10月、上海市徐匯区にある漕渓EV充電所が認可された
・2010年6月、上海浦江映象苑智能で中国初の住宅地にあるEV充電スポットを建設済み
・将来的にEV充電スタンド7~10ヵ所、充電器約400台を建設予定
天津電力公司 天津市 ・2010年1月12日、2010年内にEV充電所5カ所、交流充電器100台を整備する予定であることを発表した(交流・直流混合充電所と路線バス専用充電所に分け、中型バス、専用車、小型乗用車及び路線バスに充電可能)
国家電網河北公司 河北省 ・2010年3月、石家庄、邯鄲、邢台、衡水、保定、滄州など6地市政府とEV施設建設について戦略提携協議に調印
・2010年内、充電所のほか、400台の簡易充電器を整備する予定
石家庄市 ・2010年6月、初のEV充電所が稼動。敷地2000平方メートル、投資額2300万元(駐車スペース14台分があり、大型車両向けの大型直流充電器2台、中型直流充電器4台、中型車両向け小型直流充電器4台、小型車両向けの交流充電器4台を設置)
唐山市 ・2010年3月、南湖EV充所が操業開始。建築面積2200平方メートル、大型直流充電器2台、中型直流充電器8台、交流充電器10本を整備
河南省電力公司 鄭州市 ・2010年に鄭州市で大型充電所2カ所を建設予定
・2015年までに充電所150カ所、2020年までに348カ所を整備する計画)
江西省電力 江西省全土 ・2010年内に、中型EV充電所1カ所と交流充電器300台を整備する予定(南昌市では中型充電所1カ所と簡易充電器150台を整備。宜春、廬山、三清山などに簡易充電器150台を整備)
宜春市 ・2010年7月9日、江西省初のEV充電所宜春城北EV充電所を竣工(同EV充電所は投資総額が1100万元、2期に分けて建設、1期には充電器8台を整備する予定)
(江西水電工程局が施行を担当し、2カ月かけて竣工した)
南昌市 ・2010年3月、南昌市政府と2000万元を投資し南昌市でEV充電施設の建設交渉を開始
・2010年内に同省初のEV充電所と簡易充電器150台が稼働予定

(各種報道より作成)

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師