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おっさんから学んだ規律と情熱

CSK創業者、大川功氏没後10年に思う

2011年3月16日(水)

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 「おっさんが亡くなって10年、自分は大川功から何を学んだのか、改めて考えてみました。要するに、経営トップの心構えというか、生き方だったのではないかと。それは何かと言ったら、1つは規律、もう1つは情熱ですね」。

 独立系IT企業最大手であったCSKの創業者、大川功氏と30年近く付き合った元CSK幹部はこう語る。既にCSKを離れ、現在は自分で起こしたIT企業の社長を務めている。「おっさん」とはCSK関係者が使う大川氏の愛称である。

 この元幹部は大川氏に最も近かった1人である。話を聞きに行った理由は、本日3月16日付の本欄で大川氏について書こうと思ったからだ。大川氏は2001年3月16日に亡くなっており、ちょうど10年経った。

 以下、この元幹部の話を紹介する。

残った料理を包ませ、自分で持って帰った

 「よく経営者は孤独だ、と言いますね。起業して自分が経営トップになってみて、なるほど、トップを叱る人はいない、と分かりました。トップは自分で自分を律するしかない。ディシプリンというか、公私のけじめというか、それを身をもって教えてくれた。おっさんと付き合ったあれこれを突き詰めていくと、カネの使い方、博打の打ち方、羽目の外し方、結局そういうところに帰ってきますね」

 カネの使い方とはこういうことである。大川氏はよく働き、よく遊ぶ人であったが、会社のカネと自分のカネをはっきり分けていた。料亭で芸者を呼ぶのも、高級ワインを飲むのも、最新のIT(情報技術)ビジネスを勉強するためだと言って米国に別宅を買ったときも、米国への渡航費用も、すべて自分のカネで支払っていた。

 「カネを持っていたから自腹を切れたということもありますが、ああ見えて結構ケチでしたね。しっかりしていたということです」

 そう言って元幹部は米国における会食会の話をしてくれた。米国視察にやってきた大川氏を囲む会が高級レストランで開かれる。アメリカ人のゲストや日本から付いてきたCSK幹部が出席する。CSK幹部と言っても、元幹部のような生え抜き組と、日本の大企業から移ってきたスカウト組がいる。

 「アメリカ人やスカウト組は高い料理をどんどん頼むわけですよ。すると、おっさん、段々機嫌が悪くなる。食事代、全部おっさんの払いですからね。もともと食べ物を残すのが嫌いで、ちびちび頼む人でしたし」

 結局食べきれずに料理が残ると、大川氏は真顔でアメリカ人やスカウト組の幹部に迫った。

 「残さず食え」

 「もう食べられません」とアメリカ人やスカウト組幹部が言うと、大川氏は残った料理を包ませ、自分で持って帰った。

 「持って帰っても食べなかったとは思いますが。日本の大企業からCSKに来た方は、会社のカネを使うのは当然と言わんばかりの人もいて、おっさんはカネの大事さや公私のけじめを教えようとして、わざとそうやっていたのでしょう。逆に、自分のような生え抜きだけがいる場所で食事をしている時は、遠慮はいらん、もっと頼め、と言ってみたり。このあたりの感覚、分かりますかね。当時は、金持ちなのに締まり屋だなあと思っていましたが、自分が今、経営トップになってみると、何を伝えたかったのか、よく分かります。当たり前のことですが会社のカネと自分のカネを区別しないといけない。自分のカネでないからといって無駄遣いをする輩は、いい加減な仕事をするということです」

博打のやり方にも規律あり

 博打の打ち方にも規律があったと、元幹部は語る。博打というのは大川流の表現で、投資のことである。大川氏は亡くなるまで博打をやり続けた。

 1994年7月、筆者は大川氏にインタビューした時、「趣味は何ですか」と質問した。なぜそんなことを聞いたかと言えば、今回話をしてくれた元幹部が17年前、筆者に聞けと言ったのであった。

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「おっさんから学んだ規律と情熱」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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