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“技術の暴走”に社長が備えておくこと

自分の首を賭けるリーダーを育て、チームを作っているか

2011年3月23日(水)

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 技術(テクノロジー)の暴走とでも呼ぶべき非常事態が3月中旬に、電力会社や銀行で相次いで発生した。技術は諸刃の剣であり、使いこなせば大きな価値を生むものの、舵取りに失敗すると当該企業のみならず社会に、いや世界に打撃を与えてしまう。

 技術の暴走を未然に防ぐために、万一暴走してしまった時に対処するために、企業や組織はどう備えておくべきか。備えにあたって経営トップが果たす役目は何か。改めて考えてみた。

 技術に対し主導権を発揮する。これがあるべき姿である。例えば、電力会社は原子力発電所、銀行はコンピューターシステム、それぞれについて主導権をとって舵取りし、他人事ではなく自分の重要事として技術の説明ができなければならない。

 当たり前に聞こえるだろうが、昨今の技術は高度かつ複雑であり、経営トップが相当な配慮をしない限り、当たり前のことができなくなっている。

すべてが分かるチームを作る

 技術に対し主導権を発揮するために、経営トップがやっておくべきことは大きく2つある。

 しかるべき人物を技術のリーダーに任命し、利用するすべての技術について掌握できるチームを作らせる。これが第1である。

 経営トップは、そのリーダーとチームを信頼し、技術に関する判断を任せる。判断の最終承認はトップの役目だが、技術そのものについて口を出すのは技術者あがりの経営トップといえども無理だと思ったほうがよい。

 「技術のことは君達に任せた」と言う経営トップの発言は、「責任はトップの自分がとる」と同義である。「こうします」とリーダーが上申してきた時、トップは「分かった、頼む」と即断する。非常事態において、トップと技術陣の間にこうした信頼関係が無い限り、迅速な対処はできない。

 技術のリーダーとは、生き字引、神様、ミスター××、などと呼ばれる人物を指す。原子力発電所のことはあの人に聞けばすべて分かる。ATM(現金自動預け払い機)を管理している勘定系と呼ばれるコンピューターシステムについては彼が何でも知っている。こういうリーダーを作らなければならない。

 とはいえ原子力発電も勘定系も、様々な技術を組み合わせた複雑なシステムであるから、どれほど優れた技術者であっても1人で全貌を把握するのはなかなか難しい。リーダーの下に技術者達を置き、チームで技術を舵取りできる体制を整えることになる。

 ここで重要なのは、社内の技術チームに、当該技術に関してすべてを内製できるくらいの力を持たせることである。例えば、電力会社は原子力発電所を社員だけで建設し、社員だけで運用し、非常時には社員だけで対処できるくらいの力を持つ。銀行は勘定系システムを行員だけで開発し、行員だけで運用し、非常時には行員だけで対処できる力を持つ。

 技術にしっかり投資し、内製ができるくらいの力を持つチームを作ってこそ、経営トップは「リーダーとチームを信頼し、任せる」ことができる。「その件はメーカーの担当者に確認してお答えします」などと言うリーダーやチームに、トップは自分の首を賭けられまい。

 実際には、電力会社だけで原子力発電所を建設し、運用し、危機に対処することはできない。電機メーカー、関連設備メーカー、建設会社など協力会社各社の力が必要である。その時、「すべてを内製できるくらいの力」があってこそ、協力会社を牽引できる。

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「“技術の暴走”に社長が備えておくこと」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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