• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

津波にぶっ壊された現場を巡り、考えた

被災者を支えるには具体的に何をすればいいのか

2011年4月12日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 3月末、宮城県の被災地を5日間かけて回ってきた。このコラム連載開始に当たって、まず自分の眼で見ることから始めねばならないと思ったからだ。

 テレビの報道では、被災地は地図上の「点」としてしか理解できなかったが、宮城県の亘理郡山元町を振り出しに、仙台市の臨海工業地帯、その周辺の農村、塩竈市、石巻市、同北上町十三浜、そして全滅と報じられた南三陸町まで、海岸線沿いの道を探しながら走ってやっと、約500キロといわれるこの津波災害地域の計り知れぬスケールを実感できた。

ヘドロが乾き、悪臭を放つ粉塵として舞う

画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示

 海が見える場所、海岸に近い低地はことごとく破壊され尽くされていた。「津波に流された」という表現は正しくなかった。「津波にぶっ壊された」と言うのがふさわしい。自動車は高速道路での正面衝突のように破壊されているものが多かった。爆撃を受けたような家屋は残骸が残っているのはまだましで、まっさらな土台だけしかない建物が少なくなかった。

 被害のありようは、地域によって異なることも分かった。仙台の南、阿武隈川より南の破壊され尽くされた海岸沿いの地域は海砂が覆われていたが、石巻市では湾の底に溜まっていたものなのか、ヘドロまみれの場所が多かった。地震発生から3週間、そのヘドロが乾き、悪臭を放つ粉塵として舞い始めており、石巻日赤病院の植田信策医師は「呼吸器への影響が心配だ」と語っていた。

 リアス式海岸が続く石巻市北上町から南三陸町へと続く細い道路、国道398号線は何カ所かが寸断されたが、土盛りの上に鉄板を敷くなどの応急工事で通行可能になっていたが、道路沿いの入江にある漁港、その奥に続く低地の集落は、巨大なハンマーを思いきり振り下ろして叩き潰したような光景が続く。

 建物の上にちょこんと乗っているクルマ、民家に突き刺さっているトラック、海岸から離れた山の裾野に鎮座する漁船。仙台空港周辺では軽飛行機が流されて1カ所に固まっているシーンも報じられていた。自動車が空を飛び、船は陸を進み、飛行機は水に浮かんで進む……、悪い冗談としか思えない光景が、これでもかこれでもかと続き途絶えることがない。そして、数多くの方々の命が奪われた。

ご遺体を待つ細長く掘った深い穴

 すべてを失った数多くの方々が、家族を失った悲しみ、将来への大きな不安、やり場のない怒りに耐えて避難所暮らしをしていた。私が訪ねた北上町では地震発生から3週間が過ぎたというのに「電気は電源車で数時間だけ使えるようになったけど、テレビは共聴システム(電波を共同受信する設備)が壊れたので視聴できないです。新聞も全く見てません」と訴えられた。携帯がやっと通じたのは、私が訪ねた前日のことだった。

 石巻市の高台にある市立山下小学校の避難所を訪ねた後、通りかかった墓地を見て息をのんだ。仮の土葬場所だった。

コメント21件コメント/レビュー

「「頑張れ」は心が折れているときには絶対言ってはいけない言葉」うつ病と同じようですね。しかし、それはあいさつの言葉に近い言葉(声かけ?)であり、言霊?のようなものではないだろうか?「頑張ろう」なら良いのか?自己を含めて鼓舞する為の「声だし」なんだろうけど。この言葉の否定は良いけどするなら代案としての別の言葉が知りたいですね。同情系の言葉でも反発するだろうし後ろ向きは良くないですね。結局反発する人は何言っても反発すると思います。それでいて何も言わなければそれはそれで怒ると思います。怒りの矛先が欲しいだけなのでしょうか?(2011/04/13)

「山根一眞のポスト3・11 日本の力」のバックナンバー

一覧

「津波にぶっ壊された現場を巡り、考えた」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「「頑張れ」は心が折れているときには絶対言ってはいけない言葉」うつ病と同じようですね。しかし、それはあいさつの言葉に近い言葉(声かけ?)であり、言霊?のようなものではないだろうか?「頑張ろう」なら良いのか?自己を含めて鼓舞する為の「声だし」なんだろうけど。この言葉の否定は良いけどするなら代案としての別の言葉が知りたいですね。同情系の言葉でも反発するだろうし後ろ向きは良くないですね。結局反発する人は何言っても反発すると思います。それでいて何も言わなければそれはそれで怒ると思います。怒りの矛先が欲しいだけなのでしょうか?(2011/04/13)

「頑張れ」は心が折れているときには絶対言ってはいけない言葉です。特に被害を受けて全てを失った時にはなおさらです。自分は被害を受けていませんが、自分が出来る範囲の事は色々と行ってます、頑張るのは被害を受けてない人たちです。考えられる出来る範囲の行動で被災者を支える事が今、行うことだと思います。人助けをするのに理由なんていらないんですから。(2011/04/13)

だが、頑張るしかないんだ、現地の人々は。どう頑張ればいいんだ?と言う人は、普段から他人に頼っている人なのだから、そのように言ったのなら放置しておけばよい。最後には立ち上がり頑張り始めるしかないのだから。(2011/04/12)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授