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学士院賞の受賞は産学連携の賜物

船の馬力を推計する理論とツールを開発

  • 宮田 秀明

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2011年4月22日(金)

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 学士院賞を頂くことになった。正直言って、本当にうれしい。私がふさわしいのかどうか分からないが、実はこの賞だけは欲しかった。純粋に学問的業績を表彰する賞だし、学問の世界における国内では最上位の賞だ。毎年9人の人が選ばれる。工学部門はそのうち1人なのだから本当に狭き門である。

 おまけに恩賜賞も頂いた。工学部門の受賞者が恩賜賞を頂くことは稀なことだそうだ。きっと業績内容が分かりやすかったのだろう。世の中には私より優れた業績を上げた方も多いと思う。受賞できたのは、業績はもちろんだが、幸運も少なくなかったと思う。

「造波抵抗」と「船型学」における成果が認められた

 私の受賞理由は、一言で言えば「船が『自由表面衝撃波』という非線形な波を作ることを発見し、この現象を考慮したコンピューターシミュレーションによる設計法を開発した。この設計法を利用することで、船が使用する燃料を節減できる。経済的効果を高め、環境負荷を低減させることに貢献した」ということだ。29歳で東大に転職した後、数年間に行った仕事だ。科学的な発見から始まって、ITを駆使する船の設計法まで開発したので、造船業界への貢献は大きかった。船の形の設計法は革新的に変化することになった。現在、世の中で使われている船型設計用ソフトウェアの半分以上は私たちが開発したものになった。

 誰もが知っているように、船が進むと波を作る。船のエンジンの力は船を進めるだけではなく、波を作る仕事もしているわけだ。だから、無駄な波を作らない、できれば全く波を立てないで進む船の形を設計したい。受賞対象の研究分野はこんな世界だ。「造波抵抗」と「船型学」という分野になる。

船の馬力を推計するための理論は存在しなかった

 大学院修士課程を卒業してIHIに就職し、船舶基本設計部に配属された私は、在職5年間に様々な仕事を担当した。振り出しは、LNG(液化天然ガス)運搬船の開発設計。その後、設計法の開発の部署に異動したのだが、研究所ではなく設計部だったので、たくさんの船の試運転に立ち合った。受注船の具体的な設計の担当になることもあった。

 船にとっていちばん大切な性能は、「何トンの貨物」を「何ノットの速度」で運べるかということだ。完成した船があるエンジンを積んだ時、何ノットの速度で走れるのかを推定することはたいへん難しい。波を作ることによる無駄なエネルギーも推測しなければならないからだ。しかも理論計算か模型実験によって、必要な馬力を推定することになる。長さが100m~最大400m、価格が何十億円~何百億円にもなる船を試作することはあり得ないからだ。

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