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「もっと勉強を」、社長にくってかかった訳

真藤恒の技術経営を学ぶ[その4]

2011年4月25日(月)

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 現場を鼓舞し、反対勢力と闘い、新しい事をやり遂げる。日本に今求められている事であり、NTTの社長・会長を務めた真藤恒氏が生涯取り組んだ事でもある。著書『歩み』(NTT出版、1989年)に収められた語録から、同氏の考えと姿勢を学ぶ。講師は真藤氏から直接指導を受けた石井孝氏(元NTT常務)である。

『その1:事務屋、技術屋ではなく社会人たれ』から読む)
『その2:勇気なきインテリは「熟慮不断行」』から読む)
『その3:「思い切りやれ」、現場を奮い立たせた一言』から読む)

◇   ◇   ◇

【相手に愛情を感じたときに叱れ】

 人間は、社会的に相当の恩恵を受けて育てられている一個の社会人である。そうである以上は、やはり社会人として、よりよきものを次のジェネレーションに渡していくという、厳然たる義務があることを忘れてはならない。その義務を果たす手段として、現世の世の中で、現実の自分のポジションにいるのだと考えることが大切である。

 とにかく、おのおの自分の社会的な環境に合わせて、なんらかの爪跡を残していくことである。それで初めて、よりよきものを次のジェネレーションに渡していったという、社会人としての満足感を持って一生を終わる。それが生き甲斐というものではないだろうか。

 部下を指導するとか、方法論を考えてはだめである。自分自身に思想、哲学を持っていること以外に方法はない。絶対に方法論を勉強してはだめである。

 人を指導するということは、相手に愛情を感じたときにすべきである。甘い言葉だけでは指導はできない。叱らなければならない場合も多々ある。しかし、相手に愛情を感じたときに叱り、相手に憎しみを感じているときには、叱ってはならないと思う。

 インテリの通弊で、方法論を使い得る前提条件の能力が、われ自らにありや否やということはそっちのけにして、すぐに方法論に走ってしまう。それは最大の欠点である。

 石井 この語録の前半の主張は「なんらかの爪跡を残していく」という言葉に集約されます。これは真藤さんの十八番の1つで、ほかの語録にも出てきます。拳拳服膺してきたつもりですが、「よりよきものを次のジェネレーションに渡して」いけたのかどうか自問自答すると忸怩たるものがあります。

 私にとっては後半の叱咤激励についての記述も感慨深いです。真藤さんの強権発動で、それまでは電子交換機メーカーに作らせていたソフトウエアをNTTが内製化するプロジェクトのリーダーを引き受けた当初、毎週のように叱られていましたので。

―― 真藤さんのレビューはどういう感じだったのでしょうか。

 石井 1週間に1度ぐらいの頻度で呼び出され、進捗状況の報告を求められました。嘘をついてもばれてしまうことは明らかなので事実を報告するしかありません。進み具合は遅々たるものでした。「どうしてぐずぐずしているのか」「やる気がないのか」と語気も荒く叱り飛ばされたものです。

 ただ、真藤さんはむやみやたらと怒ったわけではありません。ポイントを突く質問をしてきて、こちらがまともに答えられない時にだけ叱られました。正直に答えている分には、まったく穏やかでしたし、前回お話した通り、失敗を告げに行った時も、言い訳さえしなければ怒られませんでした。

 鋭く突っ込まれて答えられなかった点について、次の週までに対策を考えるわけです。うまいやり方を見つけて、勇んで説明しようとすると、思いもしなかった別の点を突いてくる。また現場に戻って考える、という繰り返しでした。

 もっとも、レビューに慣れてきて、だんだん分かってきたのですが、前の週に指摘した点を翌週には忘れていて、改めて別の指摘をしたのだと思われることもありました。当時の真藤さんは70歳を超えていました。現在の私ぐらいの年齢です。最近つくづく感じますが、物忘れが激しくなって来るものです。

 プロジェクトの初期の頃は真藤さん本人が毎週レビューするだけではなく、電電公社時代からコンピューターの仕事をしていた幹部を私のもとに1週間の予定で派遣し、色々とチェックさせました。彼は「思ったより進んでいるな」と言って、3日ぐらいで帰りました。その後、真藤さんの私に対する対応はがらりと変わったような気がしました。

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「「もっと勉強を」、社長にくってかかった訳」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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