• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

知識より知恵、ホームランよりバント

真藤恒の技術経営を学ぶ[その5]

2011年5月6日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 現場の知恵を引き出し、技術(テクノロジー)を活かして、イノベーション(新しい事)を成し遂げる。日本に今、求められている事であり、NTTの社長・会長を務めた真藤恒氏が生涯取り組んだ事でもある。

 著書『歩み』(NTT出版、1989年)に収められた語録から、「知恵」と「イノベーション」に関する真藤氏の考え方と姿勢を学ぶ。講師は真藤氏から直接指導を受けた石井孝氏(元NTT常務)である。

『その1:事務屋、技術屋ではなく社会人たれ』から読む)
『その2:勇気なきインテリは「熟慮不断行」』から読む)
『その3:「思い切りやれ」、現場を奮い立たせた一言』から読む)
『その4:「もっと勉強を」、社長にくってかかった訳』から読む)

◇    ◇    ◇

【合理化には別の意味もある】

 合理化というと、人員整理と多くの人は考えているようだ。首切りとはいえないから合理化という。だが合理化には別の意味もある。

 合理化についての古典的な考え方は、組織の無駄を削ることであろう。そうではなくて、仕事のやり方を変えることによって、いままでの無駄が自然に落ちるようにするのが新しい合理化だ。

 仕事のやり方というものは時代とともに変わらねばならない。世の中の変化を取り入れながら組織を変えるわけである。そうすると、それに見合う人員配置が必要になってくる。

 私の企業でいえば、新規事業に進出することによって、電話についている人員を減らし、これを新規事業に吸収する。

 合理化は組織の人間の知恵と、その知恵を実現させる金と、世の中のために働こうとする人びとの意欲が一つになった時うまくいく。

―― 真藤さんは“ドクター合理化”と呼ばれ、石川島播磨重工業(現・IHI)社長時代に人員削減に踏み切りました。

 石井 この語録にある通り、単なる人減らしはしない、知恵と意欲で仕事を変えるというのが真藤さんの合理化であり、その主張はIHI、NTTを通じて一貫していました。にもかかわらず、IHI時代に人を減らさざるを得なかったのは、真藤さんにとって痛恨事だったと思います。

―― 合理化というより、カタカナになりますがイノベーションと呼んだほうがよいのかもしれません。「変化を取り入れながら組織を変え」「新規事業に進出」するわけですから。

 石井 真藤さんからイノベーションという言葉を聞いたことはありませんでしたが、まさにそういうことです。

 真藤さんの強権発動を受け、私が担当した電子交換機用ソフトの内製化においても、仕事を変えることで大きな成果を上げられました。

 1985年にNTTが誕生した時、ソフトの内製化を始め、5年目に入った1989年には、電子交換機のソフトをすべて自力で作れるようになり、半年ごとに新しいソフトを出荷できるまでになりました。

遠隔監視の仕組みで大成果

 しかし、大きな問題が残っていました。バグ(ソフトの瑕疵)が皆無のソフトなど作れるはずもなく、新版を出荷した直後はトラブルが起きることがありました。内製に成功したので、従来に比べれば早く直せるものの、何時トラブルが起き、電話を止めてしまわないかと心配する日々が続くわけです。

 これではたまらないと、仲間と必死で考えた結果、全国に散在する電子交換機の稼働状況を遠隔地から監視する案を思いつきました。交換機ソフトの開発担当者が直に交換機を集中監視できるシステムをこれまた内製し、担当者が24時間、交代でモニターして、何か異変をキャッチしたら、ソフトを遠隔から即座に修理できるようにしたのです。

 開発にかなりのお金がかかりましたが、リモート集中メンテナンスシステムを完成させたことで、ようやく枕を高くして眠れるようになりました。コンピューターの遠隔運転など今では当たり前ですが、1989年当時としては新しい試みでした。

コメント3件コメント/レビュー

石井氏の出ていらっしゃる会の話を最初から一気に読ませていただきました。大局感とはなんぞやということを考えさせられました。大局感をもちながらも、突破はミクロでというところが重みを感じさせます。いやそれにしても「ようやくお前も仕事の意味が分かったか」と言われたときはどういう感じだったのでしょうか?私は読んだだけで背筋がブルっきました。(2011/05/16)

「経営の情識」のバックナンバー

一覧

「知識より知恵、ホームランよりバント」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

石井氏の出ていらっしゃる会の話を最初から一気に読ませていただきました。大局感とはなんぞやということを考えさせられました。大局感をもちながらも、突破はミクロでというところが重みを感じさせます。いやそれにしても「ようやくお前も仕事の意味が分かったか」と言われたときはどういう感じだったのでしょうか?私は読んだだけで背筋がブルっきました。(2011/05/16)

「内製化にかかったコストより、この合理化効果のほうがはるかに大きかったはずです。」は真実でしょう。公務員は人減らしを続けていますが、仕事自体は減っているどころか増えているので、多くの「外部勢力」を導入しています。要するに民間人ですが、派遣契約では公務員と同じ労働条件になってしまうので請負契約です。国交省の入札結果公表資料を見れば判りますが、企業が提供する人員一人あたりの契約額は1千万円を超えます。そんな給料を貰っている人は地方の局長クラスだけです。やみくもに「公務員を減らせ」と自民党政権時代から言い続けた結果、国家支出は増えているということです。「事業仕分け」するなら請負労働者をやめて正規の公務員を増員した方が安価だったということです。(2011/05/06)

「ランナーがいてこそバントが生きる」新規事業ではランナーはいませんよね。最初に出塁するのはやはりヒットが必要です。だから、トライアンドエラーを繰り返すのですね。以前の在籍していた会社では、いつも打率100%の計画書を作ることを要求されてました。失敗したらこういう風にその実験結果を活用できるよう努力しようという計画を書いたら、「なぜそのような消極的なことを書くのかと叱責されました。こういう風潮は、世間では普通なのでしょうかね?(2011/05/06)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長