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信じられますか? 看護師や検査員がシステムを設計する病院

宮崎県都城市の宮田眼科病院

  • 谷島 宣之

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2011年6月30日(木)

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 「この仕事の流れをこう変えれば、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)ができませんか」。

 現場の日常会話でBPRという言葉が出てくる組織はそう多くはないだろう。BPRという言葉があまり使われなくなったからだ。ただ、製造業の場合、BPRを「業務改革」あるいは「カイゼン」に入れ替えれば、同様の発言が飛び交っているに違いない。

 「BPRを考えて、新しい仕事の手順を整理し、新手順を処理する情報システムの操作画面とその遷移の仕方を決めました」。

 この発言は、業務を改革する案に加え、必要な情報システムまで自分で設計するという意味である。現場担当者がここまでやれる組織はまれであろう。「情報システムの設計や開発は本業ではない、専門家に任せるべきだ」としている組織が多いからだ。

 ところが、ここまでに引用した2つの発言が当たり前になっている組織が存在する。しかも、それは病院である。宮崎県都城市にある眼科大手、宮田眼科病院は、現場を支える看護師や検査担当者がBPRを常に考え、そのためのシステムを自力で設計している。

 実際のシステム開発(プログラムづくり)は、IT(情報技術)企業に委託するものの、出来上がってきたプログラムを検証するのは、設計を担当した看護師や検査員の役目である。納品されたプログラムを自分で操作し、設計通りになっているかどうか、確認していく。

「自分で使うものだ、と思ってやり抜きました」

 そんなことが本当に可能なのか。システムイニシアティブ研究会の会合に参加した際、宮田眼科病院の尾方美由紀検査センタ角膜ユニットユニットリーダにお目にかかることができた。この研究会が追求しているのは、情報システムを利用する人が主体となってシステムを準備する「ユーザー主体開発」のあり方である。

 「本当に設計しているのか」「どうしてそんなことをしているのか」と早速聞いてみたところ、尾方氏は淡々と、だが次のように答えてくれた。

 「つらい時もありましたが、このシステムは自分で使うものだ、と思うと、設計と検証の仕事をやり抜けました。妥協して使いにくいシステムが出来上がってしまったら悔しいですし、ほかの人に申し訳ないですから」。

 実際、尾方氏が所属する検査センタが使う、検査の情報システムは尾方氏が設計したものだ。尾方氏が検査業務をどのように改善すればよいかを考え、より効果的な検査の進め方を文書にまとめ、それを支える情報システムを設計し、出来上がったシステムを確認した。

 肩書きからお分かりのように、尾方氏の本業は眼の検査である。情報システムの専門家ではない。本業のかたわら、システムに関するこれだけの仕事をこなすとなると、「つらい時もありました」という過去形ではなく「いつもつらい」のではないかと思われるが、そんなことはないようで、紹介した発言からうかがえる通りのプロフェッショナル精神で乗り切っている。

 宮田眼科にあって、尾方氏は例外ではない。利用している情報システム群はすべて、現場の看護師や検査員、医事会計などの職員の手で設計され、検証されている。ユーザー主体開発を宮田眼科はまさに実践していることになる。

 現場の担当者に情報システムを設計させる活動は2001年9月に、「業務改革IT委員会」を設置した時から始まった。顧客(患者)満足度と再診率の向上を狙い、待ち時間を短縮するために予約システムを開発することになり、現場の看護師や検査員を業務改革IT委員に任命、設計を進めていった。予約システムは完成し、狙い通りの効果を上げた。

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