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21世紀の技術立国のため、基本プランを立てよ

中国に敗けないためには、正しい技術経営と技術開発が必要

  • 宮田 秀明

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2011年7月1日(金)

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 学問の世界に入って35年目になるのに、海外留学や文科省の海外派遣の経験がないまま、もうすぐ定年になる。海外の大学の客員教授という名目で長期滞在するのは、サバディカルリーブと言って、日常から離れて新しい研究分野を拓くための再充電の時間を作ってくれる仕組みだ。世界中のどこでも一般的な仕組みなのだが、私は35年間、あまりに忙しくてこんな仕組みを利用することが許されなかった。

 だから定年直前にはイタリアやニュージーランドの大学に教えに行って少しのんびりしようと考えていた。しかし、これも全く実現しなかった。それどころか、海外出張はおろか国内出張もめったにできなくなってしまった。都内でもあまり出かけない。色々な打ち合わせは、ほとんどすべて私の部屋に来ていただいて行うようにしている。この2年間、たくさん訪れたのは沖縄だけだ。しかも最近は日帰りか1泊の旅が多い。

 こんなに出不精ではいけないと思って、3日間だけ中国出張に行った。午前中の講義を早めに切り上げて羽田へ向かい、北京空港に入った。北京の東250キロの唐山に行き、翌日、その南200キロの天津へ移動した。3日目に北京に戻って帰国するという強行軍だった。

 唐山の海側の曹妃甸という開発地域を見ることと、天津の南開大学を訪れることが目的だった。私は、あまり相談もされないままに、南開大学の客員教授になることになっていた。南開大学は日本ではあまり知られていないが中国の有力10大学の1つである。

中国は40年前の日本と同じ道を走っている

 曹妃甸のプロジェクトは唐山市の南東80キロに位置する湿地帯と海を埋め立てた広大な土地に工業地区と住宅地区を建設しようとするものだ。対象地域の面積は1900平方キロというから、沖縄本島より広い。港にある埠頭の長さをすべて足すと全部で70キロになる。毎年2000万個のコンテナを扱う世界最大級のハブ港でも埠頭の長さは12キロぐらいだから、この工業区の規模はとんでもなく大きい。

 現在、稼働しているのは北京から移された製鉄所と原油備蓄基地と発電所だけだ。私が訪れた時は、鉄鉱石を満載した14万トン型の鉱石運搬船と、原油を満載した30万トン型タンカーがちょうど入港するところだった。曹妃甸地域には油田もあり、かなりの資源を埋蔵しているようだ。だが、今のところ鉄鉱石と原油は輸入に頼り、内陸で生産した石炭を鉄道でここまで運んで輸出している。

 曹妃甸の工業地区の目標を一言で言えば、すべての製造業が集まる集積地を建設することである。パンフットを見ると、思いつく製造業のすべてが記載されている。完成予想図は、それぞれの産業を配置するエリアを示しているだけ。具体的な記述も絵もないのだが、すべての製造業を集め、世界最大規模の集積地を建設しようとしているように見える。

 同行した中国人の友人が、私に聞いた。
 「先生これ成功すると思います? よく分からないんですけど」

 私は成功するだろうと思う。なぜならば、国家の資金と、広大な土地と、大量の労働者があれば、20世紀型の製造業で優位に立つことは難しくないと思うからだ。40年前の日本と似ている。工業コンビナートを造り、高度成長時代の基礎を建設した。中国はそれを1けたか2けた上の規模で行おうとしている。

イノベーションを放棄した日本に勝ち目はない

 このままでは日本の製造業に勝ち目はないと思う。

 11年前、私は日本造船工業会が主催する造船技術戦略会議の議長を務めていた。1999年に韓国が建造量の世界シェアで日本を越え、中国の台頭も予測できる時期だった。造船各社の造船事業のトップに対して、様々な技術開発戦略、具体的には、韓中と差別化するための技術戦略を提案したのだが、結局何一つ実行されなかった。

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