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原発作業員「幹細胞採取」なぜ実施されない

揺らぐ安全思想、巨大余震への備えに深刻な懸念

2011年7月5日(火)

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岩手県大船渡市の合板工場、北日本プライウッド(2011年6月10日)
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岩手県大船渡市の仮設住宅建設現場(2011年6月10日)
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 3・11の巨大災害から3カ月目になる6月11日を挟んだ数日間、私は被災地取材で岩手県、宮城県、福島県を巡っていた。

 これまで延べ約50カ所の被災地を訪ねてきたが、壊滅状態だった三陸海岸の漁村の中には瓦礫の片付けがほぼ終わった場所があり、また仮設住宅の建設工事もあちこちで見た。その一方で、メチャメチャになった住宅街が、大型工場が、3・11当日、巨大津波に破壊されたまま放置された町も少なくなかった。

 岩手県釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市などを海岸線沿いに南下し、全滅した宮城県本吉郡南三陸町・志津川地区の町はずれに着いたのは6月10日の午後8時を過ぎだった。

 震災後に南三陸町を訪ねたのはこれで4度目だが、夜は初めてだった。そして驚いた。クルマを止め道路際に立ったが「町が見えない」のである。

1つの照明も点灯していない街

宮城県南三陸町の夜景(2011年6月10日)
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宮城県南三陸町、通過するクルマのライトで浮かび上がった自動車(2011年6月10日)
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 人口約1万8000人のうち1万5000人が暮らしていた小都市、志津川地区には、3カ月目になろうというのに1つの照明も点灯していなかった。

 小雨模様の夜空を見上げると、雲を通して月の明かりがぼんやりと見えていたが、この町はまるで夜闇に包まれた砂漠だった。遠くに、町の南のはずれにあるホテル観洋の明かりだけがポツンと見えるのみだ。もっとも、時折通り過ぎるクルマのヘッドライトが、突然、道路脇に転がったままの破壊されたクルマの姿を写し出しドキッとする。

 死者542人、住宅、建物の全壊・半壊は3311。いまだに行方が分からない方が664人もいて、23の避難所には今も2414人が過酷な日々を過ごしている(6月28日、18:00宮城県報告)。

 南三陸町への送電は既に復旧しているにもかかわらず暗闇が広がっているのは、人の営みが完全に途絶えていることを意味している。被災地に「一定のメドがつく」日をそうやすやすと迎えられるものではないことを改めて実感した。

 被災現場を1度でも見れば、だれもが微力でも何か手助けをしたいという思いにかられる。私も当初は「取材」のつもりで被災現場に入ったものの、取材どころではなくなってしまった(1995年の阪神・淡路大震災でも同じ経験をした)。

「支援は一段落した」との思い込み

 東京・西荻窪の地元の防災ネットワーク(西荻PCの会)の仲間たちに呼びかけて、粉ミルク、紙おむつ、子どもの本、野菜、着替えの衣服、女性の新品下着、電動工具などを提供してもらい、幾たびも被災地へ届けてきた。

 シャボン玉石けん(北九州市)には岩手県などに約1万本にのぼる殺菌用の石けん類を届けてもらった。弘前市のリンゴ農家には大量のリンゴを提供していただいた。通信環境が途絶していたため(今も電話回線は途絶えたままの地域がある)、NTTドコモには衛星電話やタブレット端末の提供をお願いしてきた。

 ガソリンの供給が途絶えていたため、何とか入手したガソリン缶に予備ガソリンを入れ、燃費がいいプリウスに山と荷物を積み込んで東北へ向かい、時には走行距離が1500kmになることもあった。

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「原発作業員「幹細胞採取」なぜ実施されない」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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