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(初回『原発作業員「幹細胞採取」なぜ実施されない』から読む)
(第2回『万能「血液の種」を確保せよ』から読む)
(第3回『仙谷副長官「やってくれ!」が一転…』から読む)

 大量の放射線に被ばくすると人は生命の危機に見舞われる。

放射線の大量被ばくによってどのような健康被害、生命の危機に陥るかを示す。もっとも死にいたるほどのケースは日本の原爆被災やチェルノブイリ原発事故など限られるため、確定的なデータは乏しい。
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 4000mSv(ミリシーベルト)では約半分の人が、6000mSvでは大半が、そして1万mSvでは致死、それ以上では即死レベルとなる。

 2011年8月2日、東京電力は、報道機関にA4判2ページの資料<福島第一原子力発電所プラント状況等のお知らせ>(8月2日 午前10時現在)」を配布した。

 8月1日午後2時30分頃、1・2号機主排気筒底部の非常用ガス処理系配管接合部付近の表面線量率が10シーベルト/時以上であることを確認したため、立入禁止の表示をして区画しました。今後、遮へい等の対策を検討します。

 わずか2行半の報告だが、同日に公開された「福島第一原発サーベイマップ」にもその線量と「確認」された場所が記載された。

 単位は「mSv」でも「マイクロSv」でもない「Sv」で記されている。当然ながら「Sv」は、「mSv」の1000倍、「マイクロSv」の100万倍の単位だ。つまり、確認した線量は、「1000万マイクロSv/時以上」だった。

1万mSv/時以上の高放射線量を「確認」した場所。計測した作業員は被ばくした(写真:東京電力、2011年8月1日撮影)
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 10Sv/時は「ミリ」で表記すれば1万mSv/時になる。これは1時間当たりの被ばく量だが、東京電力の作業員3人が長い棒の先端にとりつけた線量計で測った値は、計測可能最大線量である「10Sv/時」を振り切ってしまった。もし、実際は100倍以上であったとすれば、わずか1分浴びるだけ致死レベル、さらに即死レベルの放射線量となることを意味する。

 東京電力は、3月23日から福島第一原発の各ポイントの放射線量地図の公開を開始したが、それまでの15回のサーベイマップ(汚染地図)では、これほど高い線量は記載されていない。

放射線量を示す汚染地図(サーベイマップ)。前日には記載がなかったポイントが書き加えられた。周囲と比べて7000倍以上(資料:東京電力)

 この、計測不能なほど高い線量が意味することは、2つあると思う。

[1] 高放射線量が予測されるポイントが実際は数多くあるが、人が近づくことはできず、またロボットもそこまでには入っていないため、まだ「サーベイマップ」にも記載されていない。
[2] 低放射線量の場所であると思いこみ作業をしている最中に、突然、高い放射線の場所に出くわす可能性がある。実際、「10Sv/時以上」を「確認」した作業員は、棒の先の線量計で測ったにもかかわらず、最大で4mSv/時の被ばくをしたと伝えられている。

 福島第一原発では、少なくとも3基の原子力発電プラントがメルトダウンした(炉心溶融)。このような身震いするほどの事故は人類史上初の経験だ。3月12日以降、立て続けに起こった水素爆発でこの世の終わりすら覚悟した人も多かったと思うが、以降、ハラハラ状態は繰り返されてはいるものの、それを上回る破綻は何とか抑え込まれている。

 現場の数多くのエンジニア、のべ数千人と言われる作業員たちの、まさに命を賭けた作業のおかげだ。メディアは東京電力への猛批判を続けてきたし私も思いは同じだが、批判し罵声を浴びせても解決にはならない。

 今はひたすら、危機がこれ以上拡大しないための作業を必死に続けている現場のエンジニア、そして数千の作業員の方々の安全を祈り、心からの感謝をするしかない。

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