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大船渡市と陸前高田市の復興計画は同じではいけない

産業都市向けの施策を当てはめると観光都市は要塞と化す

  • 宮田 秀明

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2011年11月11日(金)

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 津波は水の波Water Waveである。

 「先生の専門は何ですか?」と聞かれて答えに窮することが多くなってきた。船、波、電力システム、東北復興と仕事の幅が広がってきたからだ。ただし、いちばんの専門はWater Waveかもしれない。学士院賞・恩賜賞を頂いたのも波の研究に対してだった。

 J.J.ストッカーが書いた「Water Waves」という本がある。水の波に関する世界標準の参考書になっている古典である。私も大学院生になった時、友人と一緒に勉強した。

 この教科書に「船がつくる波は線形分散波だ。だから、船がつくる波もアヒルがつくる波も同じだ」と書いてある。これは大きな間違いであることを明らかにしたのが、学士院賞を頂いた私の研究内容である。当たり前だが、教科書は科学技術の進歩とともに書き換えなければならない。

津波の高さを推定するのは困難

 船の波は深い水域での波(deep water wave)と呼ばれる。船のつくる波の波長が海の深さよりはるかに短いからだ。全く対照的なのが津波である。波長が長くて、海の深さの100倍以上になることもある。だから津波は浅い水域の波(shallow water wave)なのである。太平洋の平均水深は4キロぐらいなのに、津波の波長は何百キロだったりする。

 津波が伝わる速度は、水深に重力加速度を乗じて平方根を取ったものになるので、太平洋を津波が伝わる速度は旅客機並みになる。東日本大震災の津波の到達が速かったのは岩手沖の海が比較的深かったからだ。相模湾の水深はさらに深いから、津波の伝わる速度は東北のケースの2倍くらいになるだろう。

 歴史上最大の高さの津波はアラスカで発生したもので、520メートルもの高さまで遡上した。アラスカ州にある湾に2つの氷河が流れ込んでいた。氷河は流れの中では最も遅いものだ。年に数十センチしか動かなかったりする。ところがある時地震が発生してこの2つの氷河が崩落して大量の氷が湾内に流れ込んで津波が発生した。湾口の島と漁船に数人の人がいたが、もちろんみんな亡くなった。後日訪れた調査隊員が湾周辺の木の倒れ方や傷つき方から高さ520メートルと推定したのだ。これは狭い水域での特殊なケースだ。

 海底で地震が起きたときに発生する津波の高さを予測することは難しい。マグニチュード9クラスの海底地震による波の高さは20メートルか30メートルか分からない。過去の限られた観測例から統計的に推測するにしても、あまりにもサンプル数が少ないと思う。

人的被害を受けなかった2つの地域に学ぶ

 3.11の津波で人的な被害を受けなかった2つの地域がある。普台村と大船渡市吉浜地区である。普台村には高さ15.5メートルの防波堤があった。吉浜では居住地区がすべて高台にあり、浸水可能域は農地にしていた。

 どちらのタイプの防災街づくりを選ぶかは難しいところだが、それぞれの街の地形的な特徴や産業構成をよく勘案して復興都市計画を立てなければならない。

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