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現場こそが仕事師を育てる

時化に耐え抜いた経験が今につながる

  • 宮田 秀明

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2011年12月9日(金)

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 人が職業人として成長するための糧は常に現場にある。たくさんの現場体験をして育った人が本当のプロフェッショナルだ。私もそのようにして育った。だから、本当の現場を体験していないかもしれないエコノミストや評論家、学識経験者の言動には違和感を覚えることがある。

 現場で苦労していない人は、私にとって、本当の仲間にはなれない人なのだ。

 私の最初の現場体験はコンテナ船による北米往復の航海だった。

 1970年、大学院修士課程の1年生だった私は22歳だった。M先生のはからいで、船舶工学を専攻する私たち学生に、国際航海を体験させるプロジェクトが実現。これに参加したのだ。

 長さ175メートル、2万3000総トンの第1世代のコンテナ船「ゴールデン・アロー」――川崎汽船と、当時のジャパンラインが共有していた――に横浜の本牧埠頭で乗船し、カナダのバンクーバーへ向かった。

行きはよいよい…

 ただ航海を体験するだけではなかった。実船で実験を行ってデータを取り、研究と航海装置の改良に役立てるのだ。3つあった研究テーマの1つは、オートパイロットと呼ばれる自動操舵装置の制御を最適化するための実験だった。

 飛行機や船のように広い空間を目的地に向かって長時間航行する乗り物は、ほとんどの時間はこの自動操縦装置によって操縦されている。自動車のように、操縦者が常にハンドルを握っているわけではない。太平洋は本当に大海原で広いから、他の船と衝突する可能性はほとんどない。退屈だから、むしろ他の船の姿もたまには見たいものだが、なかなか見ることがないのだ。

 だから航海士と操舵手も暇だ。私の実験時間はいちばん若い二等航海士に合わせることにした。朝と夜の8時から12時までの4時間勤務が2回だ。毎日この当直(watch)を繰り返す。

 毎時40キロぐらいで進むと1日に950キロぐらい進むことができる。横浜からバンクーバーに向かっていると、そのうち日付変更線を越えて、7日半ぐらいで到着する。

 当直中はすることがないから、二等航海士と操舵手と3人でお茶を飲みながら色々な話をしていた。当直でない時間は少々勉強したり、船の図書館で借りた小説を読んだりしていた。

 航海は順調だった。到着したバンクーバーは私にとって初めて訪れる外国となった。2日間だけだったが、美しいカナダの都市を楽しんだ。

振幅は約7度の縦揺れが1回7秒の周期で24時間以上続いた

 コンテナの荷役が終って、神戸を目指してバンクーバーを出港して3日目だったと思う。激しい時化になった。船長の多少の判断ミスもあって、発達して北上してきた巨大な台湾坊主――台風並みの低気圧――のど真ん中に突入してしまったのだ。

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