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駐車場の「タイムズ」、進化の裏にネットワークあり

第6回 稼働率を適正化して収益向上

2011年12月6日(火)

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 今回、「IT経営講座」で取り上げるのは「(情報)ネットワーク」です。第3回第4回の講座ではデータの収集・活用で企業は競争優位を実現できることを紹介しました。同様に、(情報)ネットワークの構築・活用によっても、企業は競争優位を実現できます。

 事例を挙げて説明していきましょう。1つ目の事例としてご紹介したいのが時間貸し駐車場最大手のパーク24です。
 パーク24が時間貸し駐車場「タイムズ」の事業展開を始めたのは1991年のこと。それ以降、駐車場運営台数、売り上げとも、順調に伸びてきました。2010年10月期を見ると、駐車場運営台数は31万4000台余りと前年比20.1%増、売上高は1132億円と18.8%増を実現しています。
 2011年10月期も、東日本大震災などの影響を受けた中で増収増益を見込んでいます。日本経済が停滞する中、国内中心で事業展開しながら、これだけ成長を続けているのですから、大健闘していると言えるでしょう。

 パーク24のビジネスモデルをおさらいしておきましょう。タイムズは従来の時間貸し駐車場とは大きく異なるビジネスモデルを実現しました。従来の時間貸し駐車場は有人管理で営業時間は午前9時~午後8時ぐらいまで、1時間400~600円ほどの料金というのが一般的でした。対するタイムズは無人管理で24時間営業しています。料金は15分100円ほど。まさに、“コンビニエンス”な時間貸し駐車場と言うことができます。

 タイムズのビジネスモデルは「プラットフォームビジネス」の一種です。プラットフォームビジネスとは、「他のプレイヤーと一緒になって価値を提供する製品やサービス」のことです。パーク24の場合、土地を貸しているオーナーや周辺施設が他プレイヤーに当たります。同社は、駐車場に使う土地はオーナーから借り、ドライバーから駐車料金をもらってその差益を得ています。オーナーへの賃料は成果報酬型ではなく、定額で支払います。この「定額」というのがポイントです。賃料のほか、光熱費、管理メンテナンス費なども含めたコストは基本的に固定していますから、駐車場の稼働率が上がれば上がるほど収益が増えます。逆に不十分な稼働率だと、パーク24は損をしてしまうこともありえる仕組みです。

駐車場1台ごとに稼働状況を把握

 さて、ではこのようなビジネスモデルのパーク24が2000年以降の国内の景気低迷下でも業績を伸ばしてきた背景には何があるでしょうか。大きな武器となったのが2003年に導入したITインフラの「TONIC(Times Online Network & Information Center:トニック)」です。

 TONIC導入前、1997年~2002年までの5年間で、パーク24の駐車場運営台数は2.5倍に拡大しました。それに対し、TONIC導入後の2003年~2008年の5年間では3.7倍に拡大しています。明らかに、TONIC導入を機に、成長の勢いが増しています。
 TONICは全国のタイムズ駐車場の自動精算機を無線ネットワークで結んでいます。精算機は駐車場の各スペースの車止めとつながっていますから、駐車場の一つひとつのスペースごとに、入庫・出庫日時、精算金額、利用可否情報などのデータを把握できます。
 TONIC導入の効果は3つあります。第1に利用者のベネフィットが向上すること。パソコンや携帯電話、カーナビゲーションから、駐車場の位置や満車・空車情報をリアルタイムで検索し閲覧することができます。また、利用者は駐車料金の精算をクレジットカードや電子マネーでできるようになりました。

 TONICをベースに、パーク24は入会金・年会費無料の会員制ポイントプログラム「タイムズクラブカード」も導入しました。会員はタイムズ駐車場の利用でポイントがたまるほか、会員限定の優待サービスを受けることができます。8月末時点で、会員数は350万人を突破しています。これは、顧客との関係性を強化する取り組みです。
 ネットワーク導入の第2の効果は、マーケティングに活用できること。稼働状況の分析と顧客属性とを分析することで、各駐車場の場所に合ったマーケティングを実施できます。

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「駐車場の「タイムズ」、進化の裏にネットワークあり」の著者

根来 龍之

根来 龍之(ねごろ・たつゆき)

早稲田大学ビジネススクール教授

早稲田大学ビジネススクールのディレクター(統括責任者)と早稲田大学IT戦略研究所所長を兼務。ITと経営、ビジネスモデルなどを研究テーマとする。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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