• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

あの「はやぶさ」後継機、存亡の危機

「成功した者が罰せられる」そんな予算でいいのか

2011年12月7日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 小惑星探査機「はやぶさ2」が計画中止の瀬戸際にある。同探査機は、昨年奇跡の帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」の後継機。打ち上げ機会は2014~15年に限られており、実機製造には来年度要求73億円の満額獲得が必須だ。

 予算要求は政治が決める特別枠「日本再生重点化措置」で出ており、財務省は冷淡な態度を見せている。厳しい財政状況の中、日本の政治が科学技術への主体的に支出を決断できるかが問われている。

 継続的にウォッチングしている者には、「またか」と言わざるを得ない事態が、「日本再生重点化措置」を巡って進行している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」の予算が非常に厳しい状況にさらされているのだ。

 「はやぶさ2」を巡っては過去に何度もぎりぎりのところで予算が付いて命脈を保つという綱渡りが繰り返されてきた。2009年には事業仕分けで「縮減」判定を受けて、17億円の要求が3000万円まで減らされたが、2010年のはやぶさ帰還を受けて、今年度は「日本再生重点化措置」の枠から30億円の予算を獲得した。

満額得られなければ、事実上の中止

 2012年度予算では、はやぶさ2実機の製造が始まることから73億円の予算要求が「日本再生重点化措置」の枠で出ている。今年度に30億円を執行しているので、通常ならばスムーズに認められるところだ。

 しかし、3月11日の東日本大震災を受けて、「日本再生重点化措置」から震災復興への支出が行われることになった。さらに、政治の世界では日本版GPSの準天頂システムを推す声が強く、9月には4機の準天頂衛星を開発する閣議決定が行われた。2012年度予算では、内閣府が「準天頂衛星システムの整備・運用に必要な経費」として41億円を要求している。

 国の予算制度では、各分野別の予算枠が確固として存在し、宇宙関連予算も例外ではない。この枠は特別枠である「日本再生重点化措置」にまで及ぶ。震災復興経費が入ること、そして枠の存在と閣議決定まで受けて政治のお墨付きを得た準天頂衛星システムの予算要求に押されて、はやぶさ2の予算要求は満額獲得が厳しい状況になっている。

 通常の探査計画なら、数年の延期を受け入れることができなくもないが、はやぶさ2は過去に何度も延期された経緯があり、それができない。予算が満額得られない場合は、事実上の中止にならざるを得ない。

 2010年6月13日の奇跡とまで言われた帰還で世界初の月以外の太陽系天体サンプルの持ち帰りに成功した初代はやぶさは、その後映画化が3件も相次ぐほどの国民的大ブームとなった。その後を継ぐ探査機の予算を出すことが難しいという事態は、「成功する者が罰せられる」という大変皮肉で、日本再生の希望の灯を吹き消すかのような状況である。

 「日本再生重点化措置」は政治が使途を決める枠なので、最後の決断は野田佳彦首相に委ねられることになる。

打ち上げは2014~15年に限られる

 はやぶさ2を巡っては、物理学という宇宙の摂理と、予算という人の世の理の両面でほかの探査機や科学衛星と異なる特徴があり、計画遂行には2012年度予算満額獲得が必須という状況を作り出している。

 まず物理面では、打ち上げの時期が2014~15年に限られるという条件がある。

コメント60件コメント/レビュー

映画の収入を回せという方がいますが、映画に関しては。JAXAは協力の立場しか取っていません。また、興行収入といっても10月に公開された「はやぶさ/HAYABUSA」では5億円に届くかぐらいで、興行成績としては期待はずれでしょう。はやぶさのカプセルを見にきた人が総数で60万人を越えるぐらいで、映画の観客数が50万人ということですから、妥当な数字なのかもしれませんが、とてもプロジェクトの予算を満たすほどの収入は得られないでしょう。(2011/12/15)

「宇宙開発の新潮流」のバックナンバー

一覧

「あの「はやぶさ」後継機、存亡の危機」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

映画の収入を回せという方がいますが、映画に関しては。JAXAは協力の立場しか取っていません。また、興行収入といっても10月に公開された「はやぶさ/HAYABUSA」では5億円に届くかぐらいで、興行成績としては期待はずれでしょう。はやぶさのカプセルを見にきた人が総数で60万人を越えるぐらいで、映画の観客数が50万人ということですから、妥当な数字なのかもしれませんが、とてもプロジェクトの予算を満たすほどの収入は得られないでしょう。(2011/12/15)

脅迫か~。大層汚いですね。「首相、予算くれなきゃ民意を失いますよ」の布石ですね。個人的には「年金と社会保障費から好きなだけ予算やるので、日本の未来のために頑張ってくれ」と言いたいのですが、本文を読んでて金を出そうと言う気には全くならなかった。本旨は「はやぶさが成功したし、次を出すのに最適な時期がここだから金をくれ。アメリカにも負けちゃうよ」と言う事で、未来に有益な要素が全く見えない。そもそも「はやぶさ」って宇宙工学的に成功でも科学的に成功なの?塵だかガスを持って帰ってきただけでしょ。傲慢すぎて読んでてイラっとしました。(2011/12/15)

成果は「常識の確認」と書いた者ですが、老婆心から最後に補足します。ハヤブサの成果である目に見えない微粒子がイトカワのものであるとの判断は主に隕石(向こうから奇跡的に地球にやって来たがマスコミのキャンペーンはない。小額研究だか太陽系について多くの知見を得ているのに国民の関心はない)の成分と同じだからです。ハヤブサの本来の目的は技術の開発です(そのために最も技術的に容易な対象として選ばれ、工学者の名前に改名してもらった小惑星がイトカワ)。信頼性が根幹である技術開発に於いて「奇跡の生還」が示したものは基礎研究の不十分さではないでしょうか。この種の高額研究の問題は、多くの小額研究がつぶれることです。日本のノーベル賞も1件を除いて小額研究です(賞を狙った研究は「ノーベル賞を獲った男」が参考になります)。マスコミのキャンペーンに国民が感動し思考が停止すると、その行きつく先は歴史が示している悲劇です。ジャーナリストは今回のハヤブサの結果について冷静に検証し、次に進むための課題を取り上げるのが役割ではないでしょうか。(2011/12/15)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

リクルートは企業文化そのものが競争力です。企業文化はシステムではないため、模倣困難性も著しく高い。

峰岸 真澄 リクルートホールディングス社長