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適応異常に克つ~グランドデザインはあなたが描く(1)

明治以来の難題に取り組む時

  • 谷島 宣之

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2011年12月13日(火)

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 「適應異常」とはあまり見かけない言葉かもしれない。その意味は次の通りである。

適應異常とは、人間の進路には常に壁があり、それにぶつかつて、それが乗り越えられるか、乗り越えられなければ、遠廻りして壁の無い道に出られるか、さういふ手段を考へる能力、詰り判斷力と意志とを缺き、諦めて壁の前に坐り込んでしまつたり、道は一本しか無いと思込み、むやみにそれにぶつかつて挫折してしまつたりする状態を言ふ。

 これは、劇作や演出、劇団運営、シェークスピアの翻訳、さらには文学や政治、社会問題に関する批評活動で知られた福田恆存氏の著書『人間不在の防衛論議』からの引用である。

 福田氏が生涯を通じて追求したのは明治以来の近代化に伴う諸問題であった。初期の文学論から中後期の政治評論に至るまで何度となく近代化の問題を取り上げている。

私は日本の近代化を適應異常の「歴史」と見る。(中略)個々のハードウェアに對し、個々に適應する事は易しいが、それを處理する手段、方法、組織としてのソフトウェアを有機的に機能せしめる段になると、吾々は今日まで常に適應異常を起し續けて來たと言つてよい。

 ここでいう「ハードウェア」には西欧から日本に持ち込まれた技術や科学から、政治や経済の諸制度までを含む。それらを扱う手段や方法が「ソフトウェア」になる。手段や方法を使うのは人間であり、ハードウェアを物質とすればソフトウェアは精神を指す。

 「産業技術などのハードウェアの方は既に西洋を追越すほどの成果を擧げ」短期間で近代化を果たしたものの、ソフトウェアについては配慮が足りず、日本人の多くが適応異常に陥った。福田氏はこのように指摘した。 

 上記の引用文は1979年に発表されたものだが、もっと前から福田氏は、適応異常の結果、人々が不毛な政治活動あるいは犯罪や自殺に走りかねないと警告していた。30年以上経った現在、日本の自殺者数は年間3万人を超え続けている。

「道は一本しか無い」という思込み

 日経ビジネスオンラインで福田氏の文を紹介した理由は、企業の活動においても適応異常、すなわち「道は一本しか無いと思込み」何か一極に集中し、「むやみにそれにぶつかつて挫折し」失敗する例が散見されるからだ。

 テーマ特集「超・一極集中」において一極集中とは、物事のあり方に歪みや偏りがある状態を指し、超・一極集中とは一極集中を超え、適応異常から脱することである。

 「東京一極集中」の弊害がよく指摘されるが、「東京」を「日本」「自社」「男」「仕事」に入れ替えてみるとビジネスにおける歪みや偏りに気づかれるだろう。

 企業に絡む一極集中の典型は既存の市場や商品、技術にこだわり過ぎ、より大きな事業機会を見逃すことである。

 しばしば言及される問いは「なぜ日本メーカーはアップルのように成功できなかったのか」というものだ。アップル製品に使われる部品の過半は日本製であるにもかかわらず日本メーカーは完成品ビジネスでアップルの後塵を拝している。

 答えの1つはモノづくりや技術への一極集中である。アップル共同創業者の伝記『スティーブ・ジョブズ』(ウォルター・アイザックソン著)の中に、日本人読者には残念な逸話がある。

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