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ビジョンとコンセプトこそ復興計画の核

陸前高田市を、堤防に囲まれた産業のない町にしないために

  • 宮田 秀明

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2012年1月6日(金)

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 新年になった。大変遅れている東北の被災地の復興プロジェクトを、今年こそ本格化しなければならない。

 大型の第3次補正予算が実行されようとしている。各市町村の復興基本計画も出そろいつつある。さらに、被災地の市町村のいくつかが環境未来都市に指定され、順調にスタートが切っているように見えるかもしれない。しかし実際には様々な問題があって、このままでは「復興」――「復旧」はともかく――は成功しそうにもない。大型の第3次補正予算のほとんどは土木建設的な「復旧」に使われそうだ。

巨大な堤防で公園を守る?

 私たち社団法人「東日本未来都市研究会」が支援している気仙広域(大船渡市、陸前高田市、住田町)でも問題が山積している。

 日本のフクシマとタカタをどう復興させるかに世界が注目しているのに、陸前高田市の復興プランも問題を抱えている。復興計画はあるものの、中味は土地利用と土木建設が中心である。復興のグランドデザインではない。つまりどんな都市として再興するかというビジョンとコンセプトが明らかではないのである。

 津波に襲われた低地に再び住みたいという人は15%ぐらいしかいないので、住宅地や商業地、公共施設はすべて新たに造成された高台に移転することになるだろう。しかし、その前に、12.5メートルのスーパー堤防を造ることになっている。基底の幅は60メートルにもなる。広田湾はけっこう広いので堤防は長い。従ってたいへんな費用がかかる

 堤防と高台にはさまれた低地は、100~500年に1回の大津波が来た時は被災する可能性がある。面積は約300ヘクタール以上ある。利用計画によると、この広大な土地の用途は主に公園と工業地だ。私たちが提案するメガソーラー発電所に割く用地は、この中のわずか10ヘクタールでしかない。

 つまり高さ12.5メートルの巨大な堤防に投資して守ろうとしているのは、ほとんど価値を生み出さない公園と、ちっぽけな太陽光発電施設になってしまいかねない。堤防を構築することの費用対効果をしっかり考えなければならない。

無駄な建設投資が横行しかねない

 大船渡市吉浜地区は、大津波に襲われたものの被災者は1人だけだった。津波に襲われる可能性のある低地を、農地にしていたからだ。人は住んでいなかった。

 津波防災のための経営としては、吉浜地区が最も優れていたと言っていいだろう。

 それなのに、この被災者1人の吉浜地区にも震災前の2倍の高さの堤防を築こうとしている。これに対して住民からは、堤防は従前の高さのままにして、残りの予算を住居地域の道路整備に使いたいという案が出ているようだ。もっともなことだと思う。

 これから各被災地は、復興計画を見直し、改良していかねばならないだろう。北海道の奥尻島の先例を教訓としなければならない。要塞のような堤防を築き、高台へ移転しても、人口減少が続き、街はさびれていくばかりだと言う。

 色々な意味で日本は岐路に立っていると思う。建設主導の東北復興で悪しき事例をつくってしまえば、日本は間違った方向へ向かうベクトルが強くなってしまう。

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