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第5回 フェイスブックがいまこの時期に上場する理由

2012年2月2日(木)

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 ロイター通信によれば世界最大のソーシャル・ネットワーク、フェイスブックが現地時間2月1日午後に、SEC(アメリカ証券取引委員会)に株式上場を申請した。この申請はS-1と呼ばれる様式にしたがって行われ、財務内容、戦略、リスクなど投資家が意思決定の参考にすべき内容を詳細に記載することになっている。今後SECが内容を審査し、問題がなければ4月下旬から5月ぐらいの時期に上場の運びとなるだろう。米国でも最大級の株式上場案件となる。全世界にユーザー8億人を擁し、非公式ながら会社評価額850億ドルという巨大企業の上場とあってテクノロジー業界以外からの注目も大きい。

 ところで、なぜフェイスブックが史上最大級の株式上場案件になったのだろうか。

増え続ける費用、避けられない外部からの影響

 要約すれば、上場のタイミングを可能な限り先送りしてきたからだ。創業者でCEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグは、フェイスブックを運営する目的について、繰り返しこう述べている。

2011年9月に開催されたフェイスブックの開発者向けイベント「F8」で基調講演するマーク・ザッカーバーグCEO

 「利潤のためではない。人々をオープンに結びつけることにより、世界をよりよい場所にするためだ」

 言うまでもなく、これは非常に遠大なビジョンであり、投資家の短期的利害とは矛盾する可能性がある。そのためザッカーバーグは、フェイスブックに外部からの影響が及ぶことを極力避けようとしてきた。もっとも、登録者数が指数関数的に増加する中で快適なユーザー体験を維持し、新機能を実装していくには設備コストなどに莫大な費用がかかる。いかなるシリコンバレーのベンチャー・キャピタルといえども、フェイスブックの巨大な資金需要をまかなっていくのは無理で、ちょうど1年前の2011年1月、フェイスブックはゴールドマン・サックスを幹事とする資金調達に踏み切った。このとき調達した額は15億ドルで、累計調達額は23億3600万ドルに上った。

 過去のフェイスブックの資金調達額は、1年ごとに数倍に膨張してきた。となると、今後も株式未公開のまま個別投資家から数十億ドルから100億ドル規模の資金調達を行うことは難しい。仮に可能であってもそのような大株主が新たに誕生することは、ザッカーバーグの嫌う外部の影響力の増大につながってしまう。

 株式公開のタイミングにはもうひとつ、アメリカにおける証券取引の基本法、1933年証券法の規定も大きく影響している。1964年に追加された条項には「資産1000万ドル以上で株主が500人以上の企業は、株式公開企業と同様の財務内容開示を行わなければならない」とある。ゴールドマン・サックスによる資金調達の結果、フェイスブックの株主は500人を超えた可能性が強く、遅くとも2012年4月には財務内容を公開する必要があると見られていた(なお、すでに2008年に株主が500人を超えていたが、このときは「株主のほとんどが従業員」という理由で証券取引委員会に適用免除を申請し、認められていた)。

 以上の2点に加えて、既存の株主からの上場への期待も大きかったはずだ。ベンチャー・キャピタルなどの大口投資家はもちろん、多くの社員も強く上場を希望していた。シリコンバレーのテクノロジー企業では最優秀の人材を獲得し、引き留めるためにストックオプションを活用する。フェイスブックのベテラン社員の中には、数千万ドル相当のストックオプションを所有する者も珍しくないという。しかし、未公開企業のストックオプションの換金にはなにかと制限がつきまとう。上場されていれば、必要な金額の分だけ簡単に市場で換金できる。

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「第5回 フェイスブックがいまこの時期に上場する理由」の著者

滑川 海彦

滑川 海彦(なめかわ・うみひこ)

IT分野の評論と翻訳を手がける。ITニュースブログ「TechCrunch Japan」翻訳チーム。著書に、『ソーシャル・ウェブ入門』(技術評論社)ほか、訳書に『フェイスブック 若き天才の野望』など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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