「天才 「フェイスブック」の読み方」

第6回 フェイスブック S-1(上場申請書)でわかった「若き大王」の意思

バックナンバー

2012年2月3日(金)

1/3ページ

印刷ページ

第5回から読む)

 現地時間2月1日にフェイスブックがSEC(アメリカ証券取引委員会)に上場申請書を提出したが、アメリカのビジネス、IT関連メディアはフェイスブックの上場の話題一色だ。フェイスブック上場への関心の高さは、SECのサーバーが殺到するトラフィックのために一時停止してしまったことでもうかがえる(現在は正常に表示される)。

 早速、フェイスブックが提出したS-1上場申請書をダウンロードしてみたが、全文は9万6000語以上もある大部なものだ。筆者が日本語版の翻訳を担当しているITブログニュースのTechCrunchを始め、アメリカのメディアの解説も参考にして、目についた重要な点に絞って紹介してみたい。

アクティブ・ユーザーは8億4500万人、アジアはさらに増加も

フェイスブックの上場申請書の冒頭でアピールしていたフェイスブックの実績
画像のクリックで拡大表示

 まず現在フェイスブックが社内で推計している月間アクティブ・ユーザー数(少なくとも月1回ログインしたユニーク・ユーザー)は8億4500万人、毎日のアクティブ・ユーザー数は4億8300万人だ。このうち約半数が、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス経由でアクセスしている。一部のモバイル・アプリが自動的・定期的にフェイスブックのサーバーを呼び出す仕様になっていたりするため、フェイスブック自身も完全に正確な訪問者数を把握するのは困難だというが、これがもっとも正確な数字と考えてよいだろう。

 地域別のユーザー数では北米が1億7900万、ヨーロッパが2億2900万、アジアが2億1200万、その他が2億2500万となっている。インターネットユーザーに対する普及率ではアメリカ、イギリスではすでに60%を超えており、ユーザー増加率は頭打ちになっている。しかし、アジアでの普及率は20%以下で、今後大きな成長が見込まれるとしている。

 ユーザー数に関しては、成長率は一時ほどの爆発的なものではないが、新規ユーザーの加入は続いており、今後アジア、ブラジルなどの人口の多い地域の普及率が欧米並みになれば、さらに数億人の増加は十分可能だろう。

初めて明かされたグーグル並みの利益率

 今回の申請書でもっとも注目を集めたのが、フェイスブックの財務状況の数字だろう。ただし結論から言えば、アナリストのこれまでの推測と大きく異なることはなく、まず順当なものとなっている。

 2011年の売上高は37億ドル、利益は10億ドルだった。利益は対前年比65%のアップとなった。売り上げは88%のアップ。売り上げは主として広告からだが、バーチャルグッズの売り上げ、プラットフォーム開発からの収入も寄与している。純利益率は27%と非常に高い。ちなみこの水準は、グーグルの純利益率の26%とほぼ一致する。営業利益率にいたっては47%だ。その一方で、運営経費もさすがに巨額だ。2011年の純営業費用は15億ドルで対前年比122%のアップだった。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント0件受付中
トラックバック
著者プロフィール

滑川 海彦(なめかわ・うみひこ)

千葉県生まれ。東京大学法学部卒。東京都庁勤務を経てフリー。IT分野の評論と翻訳を手がける。ITニュースブログ「TechCrunch Japan」翻訳チーム。著書に、『ソーシャル・ウェブ入門 Google, mixi, ブログ…新しいWeb世界の歩き方』(技術評論社)、『データベース 電子図書館の検索・活用法』(共著、東洋経済新報社)ほか、訳書に『ビジネス・ツイッター 世界の企業を変えた140文字の会話メディア』(共訳、日経BP社)ほか。ツイッター:@namekawa01、フェイスブック:http://www.facebook.com/namekawa01



このコラムについて

天才 「フェイスブック」の読み方

新しいネットの巨人、フェイスブック。登録ユーザー数は全世界で6億人を超え、エジプトのデモで使われるなど世界的に影響力を増している。2011年1月には、未上場ながら会社評価額が500億ドル(約4兆円)と評価され、大きな話題となった。日本でも登録ユーザー数が急増している。本連載では、ノンフィクションとしては異例のベストセラーとなった『フェイスブック 若き天才の野望』の共訳者である滑川氏が、本書の内容を基に、フェイスブックの本当の威力と同社を率いる若きCEO、マーク・ザッカーバーグを紹介する。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン