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福島原発で活躍する国産ロボット(その1)

2012年9月3日(月)

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 福島第1原子力発電所の災害処理でロボットの活躍がしばしば伝えられている。その名は「Quince(クインス)」。このロボットの生みの親である千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター(古田貴之所長)副所長の小柳栄次さんを訪ね、その誕生の思いがけない経緯や福島第1原発のロボット調査の課題などを6時間ほど聞くことができた。今回から始まるシリーズで報告する。

学校法人千葉工業大学未来ロボット技術研究センター副所長の小柳栄次さん(61歳)。同センターは大学学部には所属しない学校法人直轄の独立した組織。自由な研究環境のため、研究者は教授会などの「縛り」がない。(写真:山根事務所)

 東日本大震災からちょうど100日目の2011年6月20日の朝、千葉県の幕張メッセから1kmほど西に位置する千葉工業大学芝園キャンパスに多くの報道陣が集まった。福島原発に向けて1台目のロボット「Quince」が出発するのである。もっとも、「ロボットが福島原発へ出発!」と聞いて集まった報道各社は、Quinceが思いのほか小さいことや、その形にちょっと戸惑ったかもしれない。

 Quinceは、一般の人が想像するロボットとは「体型」が違う。乳母車の上の部分を取り払ったような形をしており、車輪の代わりに戦車やブルドーザーのような無限軌道(クローラー:crawler)が装備されている(「無限軌道」は「キャタピラー」と呼ばれるが、これは米国の重機メーカー、キャタピラー社の登録商標であるため一般用語ではない)。

 Quinceには両側のほか前後に、上下に可動する小さなクローラーが1対ずつ装備されており、この4基のクローラーで大きな凸凹や傾斜のある場所でも移動することができる。サイズは思いのほか小さく、全長は665mm。前後のクローラーをめいっぱい前後にせり出しても1099mmで、1mちょっとにすぎない。幅は480mm、高さは225mm、重量は26.4kgだ。最高速度は1.6m/秒(時速約5.8km)で、ほぼ人の歩速と同じだ。とても小さい自走車だが20kgの荷物を積むことができ、2m上からの落下にも耐えられる。

米国にある災害現場模擬施設でのQuinceの走行実験の様子。その実験終了直後に東日本大震災の発生を知った。(写真提供:千葉工業大学未来ロボット技術研究センター)

 こういう形から想像されるのは、月面や火星の地表を走行する探査ローバーだろう。実際、Quinceの技術は宇宙探査にも通じるものがある。Quinceが備える感覚器は、前、後、そして全体を俯瞰できる3チャンネルのカメラ、「PSDセンサー」(位置検出素子)、マイクロフォンなど。このほかにオプションの「眼」として、パンチルトズームカメラ、3Dレーザーレンジファインダ(正確な距離測定を行うことができ、小惑星探査機「はやぶさ」もこれを駆使して「イトカワ」に着地させた)や、自在に動かせる超多関節の腕「6DOFマニピュレータ」、二酸化炭素センサーなども装備できる。

福島第1原発内部の調査を続けているQuinceの各部名称。(資料提供:千葉工業大学未来ロボット技術研究センター)

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「福島原発で活躍する国産ロボット(その1)」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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