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福島原発で活躍する国産ロボット(その3)

2012年9月24日(月)

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 福島第1原子力発電所の事故建屋内で放射能測定などの活動を行う予定の千葉工業大学未来ロボット技術研究センターのロボット「Quince」。当然ながら、放射線を浴びながらの活動経験などはない。電子基板は大丈夫か、CCDカメラは画像・映像を送信し続けられるだろうか――。

 小柳チームは、原発対応ロボットの放射線被ばくに関するデータを探した。「5000シーベルトに耐えるCF(コンパクトフラッシュメモリー)の開発が必要」という論文があったが、その開発に成功したか否かの記述は見つからなかった。公開された論文が思いのほか少なかったのは、核兵器など軍事用研究が中心であるためなのかもしれない。

 結局、「自分たちで実験して確かめることにしました」(小柳栄次副所長)。2011年4月に入り、チームは日本原子力研究開発機構の高崎量子応用研究所(群馬県高崎市綿貫町)にQuinceを持ち込み、放射線を照射する試験を行う。その試験結果は次のようなものだった。

  • 124シーベルトではレーザースキャナーが動作不良となったが、画像の送信は可能だった。
  • 169シーベルトではロボットが送信してくるCCDカメラが捕らえた画像に色調の変化が発生し、コンピュータは再起動もできなくなった。これは、CCDではなくメモリーがダメージを受けたことが推測された。
  • 毎時20シーベルトの放射線を5時間浴びせるテストを2回行ったが(合計200シーベルト)、上記以外の異常は認められず通信状態を維持することが確認できた。

 この高崎でのテスト結果から、Quinceは福島第1原発3号機の内部に投入しても問題ないという感触を得た。「放射線を浴びせる実験で投入OKとなりましたが、実験に使った電子基板は何らかのダメージを受けているかもしれないので、新しいものに交換しました」(小柳副所長)。

日本原子力研究開発機高崎量子応用研究所で放射線に対する耐性を調べたQuinceの基板(写真:山根一眞)

 もともとQuinceの開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(2006年度~2010年度、2010年度予算は4.3億円)から研究費を受けて進めていた。プロジェクト終了は東日本大震災発生の3月末だったが、原発事故を受け、半年間延長して2000万円の追加予算を得ていた。だが、高崎での試験後のパーツ交換では、「部品代だけでもあっという間に約300万円」と、出費はかさんだ。Quinceの福島第1原発投入に向けて、千葉工大は4000~5000万円を社会貢献として負担したようだ。

山積する課題の解決に挑む

 解決しなければならない課題はまだ山とあった。

「私たちは原子炉建屋には入った経験もないし、原発については知らなすぎる。ロボットを入れるにあたり、現場を見ないことには、どう使うかのプランも立てられないわけです」(小柳副所長)

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「福島原発で活躍する国産ロボット(その3)」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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