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宇宙政策委員会が非公開になったワケ

新宇宙開発計画案、公表される(第1回)

2012年12月12日(水)

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 2012年夏、日本の宇宙開発体制は全面的に刷新された。内閣府に宇宙戦略室が設立され、宇宙政策を立案する宇宙政策委員会が始動した。1960年代から続いた文部科学省・宇宙開発委員会は廃止となり、宇宙開発政策を内閣総理大臣に諮問する組織として宇宙政策委員会が設置された。宇宙基本法は附則第2条で「政府は、この法律の施行後1年を目途として、本部に関する事務の処理を内閣府に行わせるために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとする」と、施行後1年以内の制度改革を義務づけていた。しかし、その後の政権交代と政治状況の混乱のため、実施は4年も遅れた。

 新たに設置された宇宙政策委員会の初仕事は、国の今後5年の政策方針となる新たな宇宙基本計画の制定に向けた審議と、2013年度予算編成方針の審議だった。現在、内閣府の宇宙政策のページ宇宙基本計画案(PDFファイル)来年度予算編成方針案(pdfファイル)が公開されている。

 これから数回にわたって、新しい体制とその方向性について考えていく。今回は、宇宙政策委員会が発足以来抱えている問題点を指摘したい。

 宇宙政策委員会は、発足以来審議を一切公開していない。その仕事は密室審議によって進行している。前体制の宇宙開発委員会は1997年以降審議を基本的に公開しており、メディアのみならず一般も傍聴が可能だった。

 この情報公開体制の後退は、国民一般の宇宙への関心を薄れさせるだけではない。毎回の審議を主に傍聴するのはマスメディアの記者だ。記者にとって傍聴は宇宙という分野を知るための得がたい勉強の場でもあった。宇宙開発委員会15年間の公開は、なによりもマスメディア報道の質の底上げという形で効果を発揮していた。

 今後も非公開を続けるなら、マスメディアの報道はかつての「失敗で××億円が海の藻屑に」というレベルにまで劣化・後退するだろう。質の悪い報道は、質の悪い国民の認識を生む。それは回り回って内閣府・宇宙戦略室の仕事の足を引っ張ることになる。

理由になっていない“理由”

 情報公開体制後退の理由を、内閣宇宙戦略室は1)闊達な議論を行うため、2)安全保障などの議論は国益のためにクローズドにすべき、3)審議過程はホームページで十分に公開している――としている。この他に「原子力関係の委員会のように、反対派が乱入してくるようでは困る」という意見もある。これらはすべて理由になっていない。

 まず、クローズドでないと発言の一部を切り出されて揚げ足を取られるという意見は、ネットでの世論が力を持ってきた現在、無意味になった。議論が検証可能な形で公開されていれば、非難されるのは恣意的に一部の発言を切り出して揚げ足を取った方である。昨今マスメディアが時として“マスゴミ”として非難されるのは、一部の事実を切り出して読者・視聴者の意見を一方向に誘導する手法が、ネットを通じて1次情報が流通するようになり、通用しなくなったからだ。むしろ、議論をきちんと公開しないほうが、様々な憶測を呼び、揚げ足をとられやすくなる。

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「宇宙政策委員会が非公開になったワケ」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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