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北朝鮮、予想より高度だった打ち上げ能力

「核保有国か経済破綻か」が今後の焦点に

2012年12月13日(木)

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 2012年12月12日午前9時49分頃、北朝鮮は朝鮮半島の西岸の付け根近く、黄海に面した平安北道・東倉里(トンチャンリ)にある西海衛星発射場から、ロケット「銀河3号」を発射した。日本政府はこれを「人工衛星と称するミサイル発射」と称しているが、この打ち上げそのものは衛星打ち上げと考えて間違いない。打ち上げの方角はちょうど真南の方位角90度。北朝鮮の事前情報によれば、高度500kmの太陽同期軌道への打ち上げだという。

 その後、北朝鮮が事前に通告してきた3海域に、それぞれ1つずつの落下物が確認された。それぞれ第1段、衛星フェアリング、第2段と思われる。予定海域に予定通りに落下したということは、第2段までの飛行が正常であったことを意味する。次の第3段が正常に動作すれば、北朝鮮は初の人工衛星の打ち上げに成功したことになる。

 北朝鮮は過去の打ち上げ失敗でも、「衛星打ち上げに成功」と声明を出しているので、何を言っても信用できない。衛星の成否は、第三者の確認を待つことになる。具体的には衛星が出している電波を第三者が受信したか、あるいは軌道上物体を監視するレーダーを保有している米戦略軍(USSTRATCOM)が、軌道上物体のリストに北朝鮮が言う通りの軌道に入った新たな物体を追加するかどうかだ。

 午後0時過ぎ、米戦略軍のリストに、新たな物体が登録された。国際標識番号「2012-072A」。軌道高度、軌道傾斜角(赤道からの軌道面の傾き角度)から見て、北朝鮮が打ち上げた物体と見て間違いない。やがて、ほぼ同じ軌道を巡る072Bと072Cも登録された。過去の登録状況から見て、Aが衛星本体、BとCは燃え尽きた第3段と、衛星を固定していたアダプターと考えてまず間違いはない。

 次のステップは衛星からの電波が受信できるかどうかだ。軌道が明らかになったので、世界中のアマチュア無線愛好家が4月の打ち上げ時と同じ470MHz帯で一斉に受信を試みているが、12月13日朝現在、受信に成功したという情報はない。「衛星打ち上げは成功したが、衛星は動作せずに失敗したのではないか」というところである。

 地球を1周以上回る軌道に人工物体を投入すると、それは人工衛星と見なされる。米戦略軍の確認によって、北朝鮮は初の衛星打ち上げに成功したことが確定的となった。世界的に見ると北朝鮮は、ソ連(現在はロシアとウクライナ)、米国、フランス、日本、中国、英国、インド、イスラエル、イランに続く、10カ国目の衛星打ち上げ能力保有国となった。

 ただし、これは快挙ではない。北朝鮮は現在、国連安保理決議1874号により平和利用であるかどうかを問わず、いかなるミサイル関連技術の利用を禁止されている。衛星打ち上げは当然ミサイル関連技術の利用なので、今回の打ち上げは国際的な安全保障体制への公然たる反抗ということになる。

 また、北朝鮮は衛星で使用する周波数を打ち上げ直前になって国際調整を行う組織の国際電気通信連合(ITU)に一方的に通告したり、打ち上げ事故で起きる損害の賠償責任を規定した国際的な条約の宇宙損害責任条約を締結していないなど、責任をもって宇宙開発を行う体制の整備も怠っている。

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「北朝鮮、予想より高度だった打ち上げ能力」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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