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日本の宇宙開発・利用~新体制が動き出した

関係者の証言その1:山川宏氏(京都大学教授、宇宙政策委員会委員)

2013年5月28日(火)

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 2013年5月17日、国会審議の関係で遅れていた2013年度予算の執行が、通常より47日遅れで始まった。と同時に、日本の宇宙開発の新体制も、実質的な活動を開始した。2012年7月に成立した新体制が組んだ初めての予算が、日本の宇宙開発を動かし始めたのである。

 今、「宇宙開発」と書いた。新体制は「宇宙開発・利用」という言葉を使い、「宇宙開発」を意識的に過去のものにしようとしている。新体制の狙いが「技術開発から、宇宙の利用へ」という方針転換にあるからだ。

 2012年7月、宇宙開発の中枢機能は文部科学省から内閣府に移り、これまでの技術開発を中心とした体制から全官庁を横断する形で宇宙利用を拡充する方向性が打ち出された。それまでの、旧科学技術庁時代から続いてきた、宇宙用技術を国産で開発するという路線から、「国の政策のために宇宙技術・宇宙インフラを道具として活用する」という実利用中心に、軸足は移った。

 これまで政治的・体制的に抑制されてきた安全保障面での宇宙利用にも、大きく踏み出す。その象徴となるのが、日本を中心とした東アジア・オセアニア地域に測位サービスを提供する準天頂衛星システムである。衛星測位技術は軍事目的に開発され、やがて民生に展開したことはいうまでもない。

 この改革は、2008年に施行された宇宙基本法に基づくものだ。宇宙基本法は附則で施行1年以内の機構改革を政府に義務づけていたが、政権交代や東日本大震災などで、実際の改革は2012年までずれ込んだ。

 今回の改革は、1969年の宇宙開発事業団(NASDA)設立以来の、宇宙開発体制の一大刷新だ。これから5回に分けて、改革に携わった関係者インタビューと、その意味するところをまとめていく。初回は山川宏・京都大学教授に話を伺った。

 山川宏氏は、京都大学大学院工学研究科教授。2010年から2012年にかけて菅内閣・野田内閣において、内閣官房・宇宙開発戦略本部事務局長を大学教授と兼任で務めた。2012年夏からは新設された内閣府・宇宙政策委員会委員(任期2年)を務めている。

産業なくして宇宙分野の発展はあり得ず、産業の基礎は安全保障利用にある

そもそも、今回の体制刷新にどのような経緯で関わったのでしょうか。

山川 宏
1965年スイス生まれ、1988年に東京大学工学部航空学科卒、1993年に東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)取得。1993から2003年まで宇宙科学研究所助手、助教授、2003年から2006年までJAXA宇宙科学研究本部助教授。この間、M-Vロケット・再使用型液体ロケットの飛行計画立案・開発・運用などに従事。2006年から京都大学生存圏研究所教授、工学研究科教授。2010年から2012年にかけて内閣官房宇宙開発戦略本部事務局長、2012年から内閣府宇宙政策委員会委員。

山川:最初は、前回2009年の最初の宇宙基本計画が制定された時です。この時、全国の20を超える国立大学の総長・学長の連名で日本の大学における宇宙研究の重要性を訴える文書を作成し、当時、宇宙開発担当だった野田聖子大臣に手渡しました。次は、鳩山内閣の時の「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」です。私自身は2008年に施行された宇宙基本法の理念である「宇宙を政策のツールとして使う」ということに賛成の立場でした。2010年2月に当時の内閣官房・宇宙開発戦略本部事務局の方々と話をする機会があって、共に宇宙基本法の理念を実現していくということで意見が一致しました。宇宙開発戦略本部事務局長を拝命したのは2010年7月20日でした。自分にとっては青天の霹靂でした。


ご自身は、宇宙科学研究所でM-Vロケットをはじめとしたロケット、衛星の開発に携わってこられ、その後京都大学に移られました。宇宙科学についてはどのような意見を持っていたのでしょうか。またどのように主張しましたか。

山川:これは強調しておかねばなりません。有識者会議でも事務局長の時も、私が宇宙科学について何かを主張したことはありません。むしろ宇宙産業の振興と、宇宙の安全保障分野での利用を主張しました。私の意見の根底にあるのは、産業なくして宇宙科学の発展はありえないという、宇宙研勤務時代からの実感です。いかに宇宙研が優れた組織であっても、優秀なメーカーがなければロケットも衛星も作れなかったでしょう。

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「日本の宇宙開発・利用~新体制が動き出した」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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