• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

委員が非常勤・兼任では宇宙政策委は十分に機能しない

関係者の証言その3:池上徹彦氏(前・宇宙開発委員会委員長)

2013年6月11日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 かつて、日本の宇宙開発体制は、内閣総理大臣の諮問機関である総理府・宇宙開発委員会が基本的な方針を答申し、それに基づいて政治が意思決定を行っていた。2001年の省庁統合で、この形が崩れた。宇宙開発委員会が、総理府から文部科学省の管轄となり、内閣総理大臣の諮問機関から、一省庁の委員会に格下げとなってしまったのだ。

 しかしながら、その後も代替となる組織は作られず、宇宙開発委員会は、文科省の委員会でありながら事実上、国政としての宇宙開発を議論する場であるという奇妙な立場に置かれることになった。その状態は2012年夏に宇宙開発委員会が廃止となるまで、10年以上も続いた。

 この体制改革で、内閣総理大臣への諮問機関として、内閣府に宇宙政策委員会が新たに設置された。かつての総理府・宇宙開発委員会の機能を復活させた格好だ。しかし宇宙開発委員会では、常勤かつ専任であった委員が、宇宙政策委員会では兼任で非常勤になるなど、その性格には違いが生じている。

 今回は、旧宇宙開発委員会で最後の委員長を務めた池上哲彦氏に、新旧体制の比較と、今後の展望について伺った。

最後の宇宙開発委員会委員長として、1969年の宇宙開発事業団(NASDA)設立以来の体制の幕引きを担当されたわけですが、この体制改革をどのように見ますか。

池上徹彦
1940年東京生。68年東京工業大学博士課程修了(工学博士)。71年電電公社。88年光エレクトロニクス研究所長、93年取締役研究開発本部副本部長、基礎研究所所長。96年NTTアドバンステクノロジ代社長。98年福島県立会津大学副学長を経て2001年学長。07年文科省宇宙開発委員会常勤委員となり10年から12年7月まで委員長を務める。現在は文部科学省科学技術政策研究所客員研究官。

池上:大いに期待しています。宇宙政策委員会の事務を担当する内閣府・宇宙戦略室が目指す「技術開発から宇宙利用にシフトすることで産業規模拡大を目指す」は各国共通の狙いですが、宇宙でしかできない応用分野を探すことはなかなかの難題です。地上インフラがすでに非常に発達普及しているからです。例えば通信衛星利用。地上インフラが未発達な国なら通信衛星を打ち上げれば一気に通信網を構築することができます。しかし、日本のように地上の通信網が整備されたところでは、通信が途絶する災害時くらいしかニーズがありません。

 しかし、もし宇宙応用がないとなれば、人工衛星やロケットを作る宇宙機器産業にお金が回らなくなります。すると企業は有能な宇宙技術者を雇用・維持・育成する機会を失ってしまいます。さらには日本の産業界が先端的な宇宙技術開発能力を失ってしまう。これが現在、日本が抱える宇宙開発の最大の悩みです。

 特に心配しているのは、国際競争が激しくなったロケット、つまり宇宙輸送系です。国が本気にならなければ、ビジネスを維持することが困難であることを理由に撤退する大企業が出てくるかもしれません。中小を含めすでに雇用数は激減しています。

2000年代に入って、宇宙輸送系はそれまでずっと継続してきた開発計画が途切れてしまいました。今年度になって次期基幹ロケットの議論が始まりましたけれど。

池上:そうですね。メーカーがいちばん困るのは、国の長期計画がなくなってしまうことです。経営方針が立てられなくなってしまうからです。国の長期計画があれば、メーカーはそれに合わせて技術者を育成、確保することができます。特に総合機器メーカーでは、有能な人材は社内の宇宙以外の儲けの大きそうな部門と取り合いになりますから、有能な人を宇宙分野に貼り付けるには確かな受注計画などの相応の理由がなくてはやっていけません。

コメント0

「宇宙開発の新潮流」のバックナンバー

一覧

「委員が非常勤・兼任では宇宙政策委は十分に機能しない」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

高齢者に配るお金はあるが、少子化対策のお金はないと言うのは、おかしいでしょう。

小泉 進次郎 衆院議員