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日本の「水月湖」が世界の歴史のものさしに!

「年縞」を読み解いた在英日本人研究者(その1)

2013年8月20日(火)

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 日本の科学技術は欧米の後を追っているだけ、という論が根強い。開発者や研究者ばかりか経営者の目が国内にばかり向いてきたことが、グローバル化の波に打ちのめされ「日本力」を脆弱なものにしているという意見も多い。世界を熱くさせている「日本発の世界標準」を手にした英国在住の日本人科学者のプロジェクトは、成果を手にする「日本力」のありようとは何かを教えてくれている。

歴史の教科書が書き換えられる大事件

 パリ、ユネスコ本部。

 エッフェル塔があるシャン・ド・マルス公園は東南方向へおよそ1キロ続く細長い緑地だ。その東南端から300メートル先のフォントノア広場に国連のユネスコ本部がある。

 2012年7月9日から5日間、このユネスコ本部で開催された「第21回国際放射性炭素会議・パリ2012」(国際放射性炭素学会とユネスコの共催)で、「日本はすごいぞ!」と叫びたくなる決定が下された。

 福井県若狭町の水月湖の「年縞」が世界の歴史の「標準時」となった。

 「世界時間」はロンドンの天文台があるグリニッジを標準とするが、「水月湖」は今後、考古学や地質学、地球の環境の推移を知る「歴史の標準時」として欠かせない「ものさし」になったのだ。

2013年7月15日、若狭三方縄文博物館所蔵の水月湖の年縞サンプルを手に山根に説明する中川毅教授(右)。採取した年縞サンプルは急速に酸化するため、これは樹脂で固めたもの。(写真:山根事務所)

 「歴史の標準時」と聞いても、ピンとこないだろう。これは、どういうことか。

 歴史では、それが「いつ」のものかは何よりも重要だ。歴史とは、「いつ」を知ることなのだから。

 歴史的なモノが発掘されたとする。それが、「いつ」のモノかを調べる有力な手段として、「放射性炭素=炭素14」の量が調べられる。

 「炭素14」は5568年ごとに半分に減っていく(半減期)。どんなモノに含まれていてもその減り方の時計の針の進みは同じ。よって、出土品に含まれるそのごくごくわずかな量を調べれば、年代がわかる。これを、「放射性炭素による年代測定」と呼ぶ。

 この測定法の発見は1947年(昭和22年)、シカゴ大学の化学者、ウィラード・F・リビー博士による(1960年にノーベル化学賞)。

 だが、この測定で得られるデータは正確ではなく、時代による誤差がつきまとう。そこで、世界のどこででも通用する、できるだけ長い年代が連続した「ものさし」が求められていた。それが、日本の水月湖の「年縞」で得られたのだ。

 これは、世界の歴史の教科書が書き換えられる大事件ともいわれている。

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「日本の「水月湖」が世界の歴史のものさしに!」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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