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7万年分の「地球の記録」を引き揚げる

「年縞」を読み解いた在英日本人研究者(その4)

2013年9月20日(金)

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 2004年、ニューカッスル大学地理学教室の講師(当時)に採用された中川毅さんは、その翌年、水月湖(福井県三方郡若狭町)の「年縞」をボーリングするためのグラント(科学研究費補助金)、およそ1000万円(当時)を獲得した。

ニューカッスル大学教授、中川毅さん。同大学はロンドンから電車でおよそ3時間、スコットランドに近い人口26万人の都市、ニューカッスル市にある。学生数3万1000人の名門校だ(写真:山根一眞)

 2006年(平成18年)7月1日、後に世界の歴史を書き換えるほどの成果を得ることになる、水月湖の第2次調査が始まった。完璧な「年縞」を得ることを目指す。

 作業は、まず水月湖上に巨大な発泡スチロールをベースにした「フロート台船」を浮かせ、その上にヤグラを組むことから開始した。この作業は、西部試錐工業(本社、長崎県)の社長、北村篤実さんの指揮のもとで進められた。

水月湖の「年縞」を得るための作業は、「フロート台船」上にヤグラを立て、直径7.8センチ、長さ1メートル(2メートルも若干使う)の鉄パイプを次々に水中に下ろし湖底の泥の層にポンプの水圧で貫入して行った。これを引き揚げるとパイプ内に堆積泥(コア)が詰まっているので、それを押し出して保存する(写真提供:中川毅・Suigetsu Varves 2006 project)

「コア引き抜き」の難も克服

 このボーリング作業では、一気に湖底から基盤層までのコアを得るわけではない。1回目、2回目と、少しずつ深い部分の堆積土を得ていくのである。1回目と2回目の貫入の深さは重なる部分があるように進める。たとえば、「1.0~2.0メートル」の次は「1.5~2.5メートル」というように。後にこれらオーバーラップ部分を重ねていくことで、年代の途切れがない長い「連続」したコア、「年縞」を得ようというのだ。

 1993年(平成5年)の第1次調査では、1回のボーリングには1メートルのパイプを使っていたが、効率が悪いため今回は2メートルのパイプを併用することにした。だが、堆積層に入れた泥の引き抜きがうまくいかなかったため、技術的な改良が必要だった。

 2013年7月、若狭町で会った中川さんは鞄の中から真ちゅう製の手回し式の小型遠心分離器を出して見せてくれたが、これは「自作」したのだという。少年時代から工作が得意だった中川さんならではの技だが、ボーリングのコア引き抜きの技術課題も西部試錐工業とともに解決を見いだしていたのだ。

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「7万年分の「地球の記録」を引き揚げる」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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