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「サイエンス」誌が異例の記者会見を開く

「年縞」を読み解いた在英日本人研究者(その5)

2013年9月27日(金)

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専門家たちを唸らせる正確さ

 日本であれば旧石器時代から現在までの「ものさし」を手にしたことを意味している。まさに、「1人の縄文人の一生の間に見舞った洪水や火山の大噴火、異常気象、津波、黄砂の飛来などを1年刻みで知ることすら可能になる」という期待すら抱かせる成果だ。

 日本や世界のいずこかで、ある発掘物が得られたとする。その発掘物に含まれる放射性炭素「炭素14」の値を調べ、それと同じ値の「炭素14」が、水月湖の「年縞」のどこに相当するかを照合すれば、小さな誤差で年代が特定できるようになったのだ。

  「炭素14」による年代測定の限界はほぼ5万年前だが、水月湖の「ものさし」が示す4万5000年前の誤差±84年、1万年前の誤差±29年は、専門家たちをも唸らせる数字だった。まさに、水月湖が世界の歴史を書き換える……。「サイエンス」誌が前例のない来日記者発表を行ったのは、この研究成果を大きく評価したからにほかならない。

 イギリスから一時帰国、3人の日本人「年縞」研究者たちとともにこの会見に臨んだ中川さんは、長年の努力と夢が結実した喜びをかみしめた。会見後、「サイエンス」誌は一同を高級鉄板焼きレストランに招き、成果を祝福している。

「サイエンス」誌によるお祝いのディナーはホテルオークラの鉄板焼き店「さざんか」だった。「こんなにおいしい鉄板焼きは初めて!」と感動(写真提供:中川毅・Suigetsu Varves 2006 project)

 2006年の夏、水月湖で得た「年縞」のある堆積泥のコアは、魚を運ぶ冷蔵コンテナで40日かけてニューカッスル大学へと運ばれた(コアの一部は切り分けて日本の研究者たちのそれぞれの研究資料となるよう分配されている)。

 いよいよ、その「年縞」の分析作業の開始だが、イギリスの自然科学環境研究機構から得たグラント(科学研究費補助金)、5万ポンド(当時、約1000万円)は完全に使い尽くしていた。

 「グラントは上限が日本円で1000万円だったので500万円でボーリングをし500万円で分析をするといちおう書いたんです。でも、ボーリングが500万円ではすまないことはわかっていました。ボーリングではどうしても年縞の一部欠けたところが出るため、西部試錐工業にはずいぶん無理をお願いして4回もボーリングを行っていますし」(中川さん)

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「「サイエンス」誌が異例の記者会見を開く」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師