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「サイエンス」誌が異例の記者会見を開く

「年縞」を読み解いた在英日本人研究者(その5)

2013年9月27日(金)

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 2012年10月18日。東京の文部科学省の会議室で、異例の記者会見が行われた。

 米国科学振興協会(AAAS、The American Association for the Advancement of Science)が発行している世界を代表する科学雑誌「サイエンス」の担当者たちが来日、翌日付の「サイエンス」誌に掲載した論文について執筆者たちを招き異例の記者会見を行ったのである。

 こんな話は聞いたことがない。

「はやぶさ」の時にもなかったこと

 「サイエンス」誌に掲載された日本の研究では、近年では小惑星探査機「はやぶさ」が行った小惑星「イトカワ」の近接観測の成果、持ち帰ったサンプルの解析成果が特集扱いで2度にわたり掲載されことが記憶に新しい。だが、その2度の「はやぶさ」特集の時でさえ、「サイエンス」誌は日本で記者会見を行ってはいない。

 東京での発表は、論文『水月湖から得られた1万1200年前から5万2800年前までの陸上放射性炭素[炭素14]連続記録』に関するものだった。

 2006年7~8月、イギリスのニューカッスル大学教授、中川毅さんがプロデュース役をつとめた日英独の国際チームは、きわめて乏しい資金を工面しながら福井県若狭町の三方五湖の1つ、水月湖で第2次調査(湖底の堆積泥層のボーリング)を行った。その結果、1993年の第1次調査では果たせなかった欠損部のない完璧な「年縞」を得ることができた。

 その分析結果が、水月湖のボーリングから6年後に発表されたのである。

「サイエンス」誌が東京で行った記者会見に臨む(左から)名古屋大学の北川浩之教授、鳴門教育大学の米延仁志准教授、大阪市立大学の原口強准教授(写真提供:中川毅)
水月湖から得た「年縞」の「炭素14」の分析結果を伝える「サイエンス」誌の2012年10月18日号(出典:「サイエンス」誌)

 その内容はきわめて衝撃的なもので、世界の歴史の新しい、完璧な「ものさし」となることは明らかだった。現在から1万2000年前までの「ものさし」は、樹木の年輪から良質のものが得られていたが、それより古い時代の「ものさし」には信頼できるものがなかった。だが水月湖のコアによって、1万1200年前~5万2800年前の完全な「ものさし」作りに成功したのである。

コメント1件コメント/レビュー

この湖、行ったことがあります。こういう力を秘めていたとは。確かに汎用性の面ではやぶさより上か。しかし読んでて気の遠くなるような作業ですね。研究者の皆さんに敬意を。(2013/09/27)

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「「サイエンス」誌が異例の記者会見を開く」の著者

山根 一眞

山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家

ノンフィクション作家として先端科学技術分野の熱い人間像を描き続ける一方、3.11被災地支援活動も人生の大きな柱です。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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この湖、行ったことがあります。こういう力を秘めていたとは。確かに汎用性の面ではやぶさより上か。しかし読んでて気の遠くなるような作業ですね。研究者の皆さんに敬意を。(2013/09/27)

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