• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

三菱重工、H-IIAで静止衛星打ち上げ初受注

課題山積ながら、最初の一歩を踏み出す

2013年10月2日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 三菱重工業は9月26日、カナダの大手衛星通信事業会社テレサット社から通信衛星「テルスター12V」の打ち上げを受注したと発表した。静止軌道への衛星打ち上げとしては初めての受注である。2015年後半に種子島宇宙センターにおいて、H-IIAロケットを使って打ち上げる。

 三菱重工は2007年に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からH-IIAロケット運用の民間移管を受け、商業打ち上げ市場への売り込みを図ってきた。今回の受注は、韓国航空宇宙研究院(KARI)の多目的実用衛星「アリラン3号(KOMPSAT-3)」――2012年5月18日にH-IIA21号機で打ち上げた――に次ぐもの。ただし、アリラン3号は地球を南北に回る極軌道への打ち上げだった。

 三菱重工とH-IIAロケットは、静止衛星の商業打ち上げ市場に本格参入することがなかなかできなかった。今回の受注によってようやく最初の一歩を踏み出せたと言える。ただし、今回の受注は三菱重工単体ではなく、JAXAも関係するやや特殊な受注形態だ。今後、静止軌道への打ち上げが主の商業打ち上げ市場に本格的に進出するためには、今回の案件を成功させてブランドを確立すると同時に、1年間を通じて安定的に打ち上げられる能力を構築していく必要がある。

受注を可能にした3つの条件

 記者会見の場で三菱重工の阿部直彦・宇宙事業部営業部長は、3つの条件が揃ったことが受注につながったと説明した。

 まず打ち上げ時期の問題。2010年に漁業関係者との交渉が成立し、2011年度から通年の打ち上げが可能になった。打ち上げに当たっては、ブースターや第1段、フェアリングが落下する海域への漁船の進入を制限しなくてはならない。これまで種子島での打ち上げは、漁業関係者との折衝の結果、漁獲量が少ない夏期と冬期に制限されていた。

 衛星事業者にすれば、事業計画上必要な時期に新衛星の運用を開始できるのが望ましい。三菱重工はそれまで、打ち上げ時期の制約がない欧州の「アリアン5」ロケット(南米仏領ギアナから打ち上げ)などに対してハンデを負っていた。これがなくなり、同等の条件で交渉できるようになった。

 次に為替レートだ。2011年9月に76円台まで進行した円高は、H-IIAのドルベースでの打ち上げ価格を引き上げていた。2013年に入ってからの円安で為替レートが1ドル=97円~101円となり、H-IIAによる打ち上げ価格が25%程度安くなった。

 3つめは、技術的な理由だ。今回の打ち上げ契約にJAXAが関係する理由でもある。JAXAが開発した新技術によって衛星の寿命が延長。アリアン5に対して不利になっていた点を解消した。

 静止衛星の打ち上げにおいて、ロケットは衛星を、静止トランスファー軌道という静止軌道の一つ手前の軌道に投入する。北緯30度に位置する種子島からの打ち上げでは、静止トランスファー軌道は赤道に対して30度傾いている。赤道上空の静止軌道に投入するためには、軌道の傾きを30度から0度に変える必要があるので、静止トランスファー軌道から静止軌道に入るには衛星に装着したロケットエンジンで1830メートル/秒加速してやる必要がある。

 一方、北緯7度の南米仏領ギアナから打ち上げるアリアン5は、軌道の傾きを変える必要がほとんどない。このため衛星は1500メートル/秒ほど加速するだけで静止軌道に入ることができる。

コメント2

「宇宙開発の新潮流」のバックナンバー

一覧

「三菱重工、H-IIAで静止衛星打ち上げ初受注」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

環境の変化にきちんと対応して、本来提供すべき信頼されるサービスを持続できる環境を作り出さなければならない。

ヤマトホールディングス社長 山内 雅喜氏