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嫦娥3号月着陸、日中の月探査で明暗分かれる

カギはプログラム的探査

2013年12月20日(金)

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 中国の月着陸探査機「嫦娥3号」が12月14日、月に無事着陸し、無人探査車(ローバー)を月面に降ろした。嫦娥3号は全重量3.7トン。120キログラムのローバー「玉兎号」を搭載している。

 12月2日に西昌衛星発射センターから「長征3B」ロケットで打ち上げられ、12月6日に月周回軌道に入った。その後、数回の軌道変更で高度を下げ、12月14日午後10時11分(日本時間)、月の表側赤道付近の虹の入り江に無事に着陸した。15日午前3時35分、ローバー「玉兎号」を月面に降ろすことにも成功した。嫦娥3号の着陸成功により、中国は旧ソ連、アメリカに次いで月面に探査機を送り込んだ3番目の国となった。

 月に探査機が着陸したのは、1976年8月に旧ソ連が月に「ルナ24号」を着陸させて以来37年ぶり。また玉兎号は、同じく旧ソ連が1973年1月に月に送り込んだローバー「ルノホート2号」以来40年ぶりとなる。

 一般メディアでは、中国の目的が国威発揚と月面資源の獲得にあるという論調が目立つ。が、注目すべきところは、むしろ中国が月面着陸で見せた精緻な誘導技術だろう。他天体への着陸は初めての経験であるにもかかわらず、嫦娥3号は見事な着地を披露した。これは中国の宇宙技術がかなり高度なレベルに到達していることを意味する。

 今後注目すべきは、嫦娥3号の観測により、中国の科学者からどのレベルの論文どれだけ出てくるかだ。嫦娥3号は7種類の観測機器を搭載、玉兎号も土壌分析装置を装備している。高品位の論文が多数発表されれば、中国の宇宙工学だけではなく、宇宙科学も世界的水準に達したことになる。

 月探査では、1990年代には日本が中国よりもはるかに先行していた。それが2007年には、日本の月周回探査機「かぐや」とほぼ同時期に、中国が月周回探査機「嫦娥1号」を打ち上げることになった(かぐやが2007年10月4日、嫦娥1号が10月24日)。そして、日本が「かぐや」後継機の開発に入れずにいるうちに、中国は嫦娥1号同型機の嫦娥2号を2010年10月に月へ向かわせた。そして今回、嫦娥3号を月面に着陸させた。

中国はプログラム的探査を着実に実施

 日中のこの差は、月探査をプログラム的探査として継続するという、探査に対する基本理念の差がもたらしたものである。

 プログラム的探査という.のは、探査機の開発と運用を1回限りのイベントとして考えるのではなく、一連の技術的なステップを段階的に踏んで、宇宙工学と惑星科学の両面から高度な目標に挑戦する探査戦略である。

 アメリカは1960年代から70年代にかけて、プログラム的戦略を展開し、大きな成果を上げた――技術試験機の「パイオニア」シリーズに続けて、本番の探査機「マリナー」などを火星や水星に向けて打ち上げた。外惑星探査では、技術試験機「パイオニア10号」「同11号」に続けて、木星や土星の側を通過する「ヴォイジャー1号」「同2号」を打ち上げた。さらに木星探査機「ガリレオ」、土星探査機「カッシーニ」と、それぞれの惑星を長期間周回する探査機を送り込んだ。

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「嫦娥3号月着陸、日中の月探査で明暗分かれる」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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