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スペースX、2連続静止軌道向け打ち上げに成功

ITビジネスの手法で打ち上げ市場に本格参入

2014年1月10日(金)

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 米宇宙ベンチャーのスペースXは1月7日、フロリダのケープ・カナヴェラル空軍ステーションから「ファルコン9v1.1」ロケットで、タイの通信会社タイコムの通信衛星「タイコム6」の打ち上げた。打ち上げは成功し、これにより同社は国際的打ち上げ市場への本格参入に強力な足がかりを得た。

タイコム6を搭載したファルコン9v1.1の打ち上げ(Photo by SpaceX)

 衛星打ち上げビジネスは、6割以上が静止軌道向け打ち上げであり、市場の主戦場と言っても過言ではない。年間15回程度の打ち上げ需要が存在し、うち6割以上を欧州のアリアンスペース社が占めるという市場構造だ。アリアンスペースの高いシェアは、過去の打ち上げ実績に裏付けられた高い信頼性によって支えられている。新規参入には、カスタマーに実績の形で信頼性をアピールすることが必須である。

 スペースXは2013年12月3日に、ルクセンブルグの通信会社SESの通信衛星「SES-8」の打ち上げに成功している。SES-8打ち上げは同社にとって初の静止軌道への打ち上げだった。タイコム6の成功で同社は、打ち上げビジネスの主戦場である静止衛星打ち上げで、2回連続成功した。これは、カスタマーの信頼感を醸成するのに最低限必要な打ち上げ回数をクリアしたことを意味する。

 スペースXのバックオーダーリストには、香港のアジアサット社やアジア・ブロードキャスト・サテライト社、メキシコの通信会社SATMEX、トルクメニスタンなどの静止衛星打ち上げが入っている。ここで失敗していたら、これらの打ち上げがアリアンなどに流れる可能性もあったが、2連続成功で今後とも静止軌道向け打ち上げを継続し、さらなる成功で信頼感を獲得する道が拓けた。

 スペースXは、静止軌道打ち上げに対して最低5000万ドルと、従来の打ち上げ市場の相場に対してほぼ半額の価格を提示し、これらのバックオーダーを獲得してきた。この価格は打ち上げのみのもので、衛星の輸送や整備なども含めるとより高くなる。アリアンスペースや日本の三菱重工業など、既存の打ち上げビジネス関係者は、ファルコン9の 静止軌道打ち上げ実施前の段階では、この価格提示を「IT産業によく見る誇大宣伝」「実績がなく、べーパーウエア(蒸気のように実態がないのにソフトウエアの機能を宣伝することでライバルを牽制すること。1990年代のIT産業ではよくあることだった)にも似ている」と評価し、静観の構えでいた。

 しかし今後は、スペースXを強力なライバルとして認識し、対応策をとる必要が出てくるだろう。

自社開発の徹底でISS補給ミッションに成功

 スペースXは、ペイパルなどの創業で知られるアントレプレナーのイーロン・マスクが、2002年に創業した宇宙ベンチャーだ。ロケットエンジン、機体、誘導制御機器などのすべてを技術導入に頼らず自社開発しており、2008年9月28日に、小型の「ファルコン1」ロケットの初打ち上げに成功した。

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「スペースX、2連続静止軌道向け打ち上げに成功」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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