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不安残るエンジンに「こんなこともあろうかと」の発想を

新型基幹ロケット、成功の条件(その2)

2014年3月26日(水)

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 新型基幹ロケット、仮称「H-III」では、第1段エンジン「LE-9」と第2段の「LE-11」を同時に開発する。液体ロケットエンジン開発は、ロケット開発における最難関で、これまで何度もトラブルを出し、開発スケジュール遅延の原因となってきた。

 特にLE-9は、これまでのH-II/H-IIAロケットの第1段エンジンLE-7/LE-7Aと比べると、エンジン動作の仕組みを、「二段燃焼サイクル」から「エキスパンダー・ブリード・サイクル」という方式に変更する。新しいエンジンサイクルは、構造が簡素になり、エンジンが低コストになる一方で、大型エンジンほど開発が難しくなるという特徴がある。

 従って実機開発中に何か大きなトラブルが起きても不思議はない。いや、むしろトラブルは必至と考えるべきだろう。

 しかも日本にとって液体ロケットエンジン2種類の同時開発は初めて。決してリスクは小さくない。開発難航と初号機打ち上げ遅延を見越した“隠し球”を予め開発計画の中に仕込んでおく必要がある。

カギは推進剤を押し込む「ターボポンプ」の駆動方法

 液体ロケットエンジンは、燃料と酸化剤(まとめて推進剤という)をターボポンプで主燃焼室に押し込んで燃焼させ、得られた高温ガスをノズルから噴射して推力を得る。主燃焼室の圧力が高いほどエンジンは高性能になるので、高効率・高圧のターボポンプが必須となる。

 ターボポンプを駆動するエネルギーをどうやって得るかで、液体エンジンのエンジン・サイクルは分類される。基本となるのは、別途小さな副燃焼室(ガス・ジェネレーター)で少量の推進剤を燃焼させて、得られた高温ガスでターボポンプを駆動するガス・ジェネレーター(GG)サイクルだ。GGサイクルは、主燃焼室が高圧になるほど、そこに推進剤を押し込むターボポンプの出力を上げねばならず、駆動に使う推進剤が増える。この分のガスは推力に寄与しないのでエンジン全体でみた損失が大きくなる。

 この欠点を改良したのが、LE-7/7Aで採用された二段燃焼サイクルだ。

コメント2件コメント/レビュー

 フネも戦車も戦闘機も、昔からエンジン開発には苦労させられましたからね。こればっかりは経験工学の塊なので、実際に造って経験値を重ねるしかない。冶金技術の向上は、一朝一夕では成らない。三菱一社特命ではなく、もう一社ぐらい(かつての中島や川崎のように)液酸液水ロケット開発を主導できるメーカーがあればいいのだが(シロシンタ)。(2014/03/26)

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「不安残るエンジンに「こんなこともあろうかと」の発想を」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 フネも戦車も戦闘機も、昔からエンジン開発には苦労させられましたからね。こればっかりは経験工学の塊なので、実際に造って経験値を重ねるしかない。冶金技術の向上は、一朝一夕では成らない。三菱一社特命ではなく、もう一社ぐらい(かつての中島や川崎のように)液酸液水ロケット開発を主導できるメーカーがあればいいのだが(シロシンタ)。(2014/03/26)

日本のロケットではエンジンを大量生産する事は無いのだから、ロシアのようにマルチノズルなエンジンにして、信頼性向上とローコスト化はできないものだろうか?そして、補助ロケットをタンクとエンジングライダーユニット合体式にして再使用する。場合によってはタンク外壁変形でグライダーボディに使い切り変形。こちらのエンジンにも同メインエンジン採用で、こちらは数回再使用するとか。(2014/03/26)

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