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「ガリレオ」失敗からロシアの退潮が見える

ロシアの技術力衰退がより明確に

2014年8月29日(金)

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 しょっぱなからつまずいてしまった――8月22日、欧州のアリアンスペース社は南米仏領ギアナのギアナ宇宙センターから、「ガリレオ」測位衛星2機を搭載したソユーズロケットを打ち上げた。ロケットは順調に飛行し、無事に衛星を分離したかに見えた。打ち上げ直後のアリアンスペースの発表は「打ち上げ成功」だった。

ギアナ宇宙センターからガリレオ衛星を搭載して打ち上げられるソユーズロケット(ESA)

 ところが、その後の調査で、衛星は予定から大幅にずれた軌道に投入されたことが明らかになった。

 ガリレオは欧州連合(EU)が構築を進めている測位衛星システムで、最終的には30機の衛星で、全世界に測位サービスを提供する。今回の打ち上げは2018年以降の本格的な稼働開始に向けた、ガリレオ実用衛星の初めての打ち上げだった。

 この打ち上げ失敗は2つの観点から見ることができる。

 ひとつは、これまで揉めに揉めて、何度も計画中止の危機を乗り越えて実用衛星打ち上げにこぎつけたガリレオ計画が、この事故にどのような対応をするかだ。もうひとつは、ますますはっきりしてきたロシア宇宙技術の現場の衰退が、今後どのように推移するかである。

ガリレオ実用衛星の初打ち上げだった

 衛星からの電波を使って自分の位置を測定する測位衛星システムは、当初軍事用途で開発が始まり、やがて民間に普及した。今や、カーナビ、貨物の位置管理やスマートフォンのパーソナルナビゲーションにいたるまで、生活に欠かせない基礎的な社会インフラとなっている。軍民両用で絶大な利便を発揮するため、世界各国は測位衛星システムの開発と維持にしのぎをけずっている。

 ところで、「ウォークマン」「セロテープ」のように固有の商品名がそのジャンルを指す言葉と勘違いされることがあるが、「GPS(Global Positioning System)」もそのひとつで、これは米国の測位衛星システムの名称だ。現在、全世界で使える完全なシステムとして運用中なのは米国のGPSとロシアのGLONASSで、中国の北斗と欧州のガリレオがシステム構築の途中だ。別途インドが、インド近傍をカバーするIRNSSというシステムを構築中。日本は、2019年までに、アジア太平洋地域でGPSを補完・補強する準天頂衛星システムを構築する計画を進めており、その先には衛星数を増やして、アジア・太平洋地域でGPS抜きでも測位可能なシステムに発展させる構想を持っている。

 ガリレオは、GPSに対抗するシステムとして1990年代から検討が始まった。基本的には冷戦期にフランスがとった「米ソから等距離を保ち、世界の第三極としての欧州の地位を確立する」という政策の延長線上に企画されたシステムだ。

 GPSやGLONASSのように政府が全額出資するのではなく、官民双方が必要経費を負担し、高度サービスには課金するというビジネスモデルを構築したが、米国の妨害、欧州内におけるフランスとドイツの対立、開発費分担を巡る官民の対立などのトラブルが発生。その結果、2010年頃のサービス開始という当初予定は、大幅に遅延した。ただし、その間も技術開発は進められ、2005年と2008年には、技術試験衛星「GIOVE-A」「同B」が打ち上げられた。

 2007年に、開発費をEUが全額負担するという方針変更があって、やっと計画が前に進み始め、2011年と2012年に、実証衛星「IOV」がそれぞれ2機打ち上げられた。

 現在、IOV4機が軌道上にあり、計画実施機関の欧州宇宙機関(ESA)は、これに加えてソユーズロケット5機を使って実用衛星「FOC」を10機(1回の打ち上げで衛星2機)、アリアン5ロケット3機でFOC12機(1回の打ち上げで衛星4機)をそれぞれ打ち上げるという契約をアリアンスペースと結んでいる。

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「「ガリレオ」失敗からロシアの退潮が見える」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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