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台風が来ると社員が出社しない強い組織

2014年10月23日(木)

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 「今、○○駅と△△駅の間で止まっています」「最寄り駅まで行きましたが動いていません。一応乗り込んで発車を待っています」。

 大型台風が来ると通勤電車はしばしば止まる。乗っていた乗客は今の状況をスマートフォンなどから発信する。インターネットを利用したソーシャルネットワークサービス(SNS)を眺めていると通勤時の混乱ぶりがその場にいなくても分かってしまう。

 個人による生中継など以前は不可能だったから進歩と呼べるかもしれない。もっとも台風が来て電車が止まることは昔からあったし、それでも出社しなければいけない点は変わっていない。

 一部の企業や組織は在宅勤務、厳密に言えば事業所以外における勤務を認めており、悪天候あるいは災害時には出社せずに済むし業務が滞ることもない。ただしそれができる企業は日本の中でまだ少数で、その点も従来通りである。在宅勤務で思い出すのは筆者が記者になった30年近く前、先輩記者から「在宅勤務はネタにならない」と言われたことだ。

 その時、先輩記者はどこかの企業の広報担当者に電話をかけていた。経営幹部への取材を申し込んだところ先方から「在宅勤務の取り組みを聞いてもらえないか」と打診されたらしい。先輩は「在宅勤務ですか。以前に取材しましたが、一部の外資系企業が取り組んでいるだけで日本では広がりません。他のテーマはないですか」と注文を付けていた。

 電話を終えた先輩に、「通信ネットワークとコンピュータを使えば家にいて仕事ができるようになりませんか」と聞いたところ「その話は以前から言われている。だが自宅に仕事場所を確保できるサラリーマンが日本にどのくらいいると思うかね」と切り返されてしまった。

「出社するかしないか自分で判断せよ」

 それから30年近く経ち、日本企業における働き方は大きく変わった、と書きたいところだが通勤時の立ち往生の中継を見ているとそうは書けない。

 つい先日、ある外資系企業の幹部とメールでやり取りしていた際、台風の話になった。翌日関東を横断すると報じられていたから「御社はどうするのですか」と聞いてみると、その人はこう答えた。「台風が直撃した場合、出社するかしないか自分で判断せよ、という通達が数日前にあった。こうなると出社しない社員が多くなり、オフィスはがらがらで静かになる。仕事がはかどるので私は出社するつもり」。当日の早朝、自家用車で出勤すれば台風を避けられるという。

 その外資系企業は米国の大手IT(情報技術)企業の日本法人であり、社員はパソコンさえあればどこにいても仕事ができるようになっている。「会社に対してどのような成果を出して貢献するかをあらかじめ決めてある。成果さえ出せばどこでどう仕事をしてもかまわない」。在宅勤務というより仕事場所を問わない働き方と言える。

 その話をしたすぐ後、ごく普通の日本企業にいる人と同じようなやり取りをした。台風に備えた通達をその企業も社員に出していた。内容は「安全に十分注意して出社するように」というものだった。30年前と何も変わっていないと思った。いや、通達が社内の掲示板システムに掲載される点は進歩している。

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「台風が来ると社員が出社しない強い組織」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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