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宇宙開発、環境省が寄り合い所帯を圧倒

明暗分けた2つの地球環境観測計画

2015年3月19日(木)

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 2月19日、東京で宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主宰する、「水惑星の安心を見守る ~熱帯降雨観測(TRMM)衛星17年間の成果~」というシンポジウムが開催された。1997年11月に打ち上げられ、17年間も運用されてきた日米共同のTRMM衛星が、搭載推進剤枯渇のため今年4月で運用終了となることから、この17年間に得られた成果を集約することを目的としたシンポジウムだった。

 同シンポジウムでは、TRMMが上げた多彩な成果がプレゼンされた。TRMMは、軌道上から降雨をレーダー観測した世界初の衛星だった。TRMMにより、人類は雨を降らす雲の内部が立体的にどのような構造になっているかを初めて知ることができたし、地球表面の7割を占める海上の、どこでどのようにして雨が降っているかを知ることができた。

 また、TRMMの降雨レーダーで、他の地球観測衛星に搭載したマイクロ波放射計を較正することで、準リアルタイムで地球全域のどこでどの程度の雨が降っているかを知ることができるようになった。現在データはJAXAから「衛星全球降水マップ(GSMAP)」として公開されている。

「衛星全球降水マップ(GSMAP)」。全地球的な降水分布を、同画像としてみることができる。衛星が観測してから4時間後に、データが地図に掲載される仕組みとなっている。学術的な気象研究用には、後からより精密に較正したデータが提供される。

 雨粒から発生するマイクロ波という電波を検出するマイクロ波放射計は、雨粒以外から来るマイクロ波も受信するので、より正確に雨を検出する降雨レーダーを使って観測データの補正を行う必要がある。TRMMの降雨レーダーは、マイクロ波放射計による降雨観測に“基準”を提供したわけだ。

「それ以前」と「以後」、時代を画する貢献をした

 TRMMは、天気予報の精度向上にも貢献した。TRMM以前、気象衛星「ひまわり」などの撮影する雲のデータは、「どれぐらいの高さの雲か」が分からなかった。天気予報のためには雲の高度を推定して、その動きから風向風速を算出し、数値シミュレーションを行っていた。TRMMの観測データから、「どんな雲ならどの程度の高さか」ということを高精度で推定できるようになり、それだけ数値シミュレーションの精度が向上した。

 地球環境への理解は、TRMM以前と以降に分けることができるほど、その意義は大きかったのである。

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「宇宙開発、環境省が寄り合い所帯を圧倒」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士