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最も曖昧な言葉、それは「ソフトウエア」

思想、工学、匠の技、人間学、モデル、科学、それとも管理技術?

2015年4月6日(月)

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 抽象度が高い外来語は様々な定義が可能であり、その定義は人によって色々である。同じ言葉を使っていても定義が異なるならば当然、議論は噛み合わない。

 思いついた外来語を順不同でいくつか挙げてみよう。コンセプト、パラダイム、フレームワーク、ビジョン、ストラテジー、ミッション、マネジメント、テクノロジー、イノベーション、いくらでも書けそうだ。

 こうした中で最も曖昧な言葉は「ソフトウエア」ではないか。コンピューターの上で動かすプログラム(コードとも言う)を指す言葉だが、それ以外の物事にもこの言葉は使われている。

 「ハードウエアとソフトウエアの関係は相対的である。(中略)したがってソフトウエアに言及する際には定義を明示したほうがよい」。

 これは3月9日に公開した拙文『1969年、丸ノ内に「ソフトウエアの工業地帯」があった』の一節である。

 「関係は相対的」の例をいくつか挙げてみよう。ハードウエアをコンピューターとすればソフトウエアはコンピューター上で動くプログラムになる。

 ハードウエアを企業情報システムにすれば、企業が使う情報ないしデータ、そのデータを作り出すプログラム、必要な情報を定義し、その情報を使って仕事を進める人の取り組み、これら全部がソフトウエアになる。

 ややこしくなるが、コンピュータープログラムを一種のハードウエアとみなせば、そのプログラムを開発し、使いこなすことがソフトウエアになる。

 以下の記述においてはソフトウエアをコンピューター上で動くプログラムとし、それを開発し、使いこなすことを「ソフトウエアに取り組む力」とする。ソフトウエアの競争力を論じる場合、プログラムと取り組む力の両方をソフトウエアとみなすことが多いが、今回は切り分けて話を進めたい。

ソフトウエアは設計思想である

 「45年間にわたって日本のソフトウエア現場に積もり積もったはずの力は、個々の技術者、ソフトウエアを利用する企業(発注者)、ソフトウエア会社(受注者)に分散されてしまい、再利用がなかなか難しいのではないか」。

 前回公開した『「日本のソフトウエアは米国をしのぐ」から45年、一体どこまで来たのか』の中で上記のように書いた。これを読んだ読者の方々が「ソフトウエアに取り組む力」の蓄積についてソーシャルネットワークサービス(SNS)に意見や感想を投稿された。それらを紹介しつつ、最も曖昧な言葉であるソフトウエアについて考えてみたい。

読者の意見

 日本で組織的な技術蓄積が何故ハードウエアではできてソフトウエアではできなかったのか。ハードウエアはモノであるから小括り(パーツ)にでき、町工場のような規模の所でも特殊物品として磨きが掛けられる。

 ところがソフトウエアは設計思想であるため小括りができず、思考体系として進化させざるを得ない。こうなると、かなりの規模の会社が長期にわたってソフトウエアの維持と管理をしながら丁寧に生育させる必要がある。

 然るに日本のコンピューターメーカーに代表される大企業の大部分は下請けに丸投げする方式を取っており、蓄積などできるはずがない。一方、独立系中小ソフトハウスが限りなく成長するソフトを長期スパンで観ていこうとしても、人件費の増加などの経費負担、リスク負担に耐えられない。

 この指摘はNTTで交換機ソフトウエアの開発を手がけた石井孝氏(元常務)によるものである。

 ソフトウエアは一定の文法にそって記述された一群のプログラムであるが、何かの業務処理のために用意されたわけで、そこには何らかの考え、つまり思想が反映されている。それを理解し、必要に応じてプログラムを書き直し、思想を深めていく。これを繰り返していけば「組織的な技術蓄積」ができる。これが石井氏の意見である。

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「最も曖昧な言葉、それは「ソフトウエア」」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長