全日本空輸の2006年3月期の連結業績は売上高が前期比5.9%増の1兆3687億円、営業利益が同14.2%増の888億円といずれも過去最高を更新した。原油高の影響で燃料費が前期比312億円増えたにもかかわらず、旅客増で吸収した格好だ。
愛知万博の開催や景気回復による人の移動量の増大に加え、トラブルが続く日本航空(
)から流れてきた客数増も大きかったという。全日空幹部によると「正確に分析できているわけではないが、90億円弱の増収効果があった」。その日本航空は416億円の経常赤字に終わっただけに、明暗がくっきりと分かれた格好だ。
現在、全日空が進めている中期経営計画は2009年までの4カ年のもの。通常は3カ年で毎年作り直していく形式を取っているが、例外的に4年としたのは2009年に羽田空港の再拡張という一大イベントがあるため。羽田の発着枠が従来の4割増え、国際便の運航も始まる。2006年はこの目標年に向けた助走を始める年となる。
売上高の7割を占める国内線は全日空と日本航空ですでに、ほぼ半分ずつのシェア。発着枠に制限があり、新規参入もある中では、国内線で大きな成長は見込めない。そこで狙うのが国際線と貨物線の強化だ。
6月、成田のターミナル移転
国際部門の最初の目玉は、6月に成田空港のターミナルを第2から第1に切り替えること。これまでは日系航空として日本航空とともに第2ターミナルに拠点を構えていたが、改修工事が終わるのに合わせて移転する。その際、全日空が参加するスターアライアンスグループ各社も第1ターミナルに集約される。移転コストは30億円と少なくない。だがアライアンスの航空会社との乗り継ぎ時間が短縮されるなど利便性を高め、「2009年以降を見越した先行投資」(江塚春夫IR推進室長)と位置づける。
もう1つの注目点は需要の伸びが大きい中国路線の発着枠をめぐる日中航空交渉の行方だ。全日空は中・長距離の国際線を縮小し、中国路線を重視する方針だが、それには中国政府から発着枠の追加配分が必要。しかし政府間の交渉は羽田や成田への乗り入れ拡大を求める中国側と、発着枠に限りがある日本側との間で停滞している。
全日空では2006年度下期には増便が可能との前提で業績見込みにも織り込んでいるが、政府間の関係次第ではさらにずれ込む可能性がある。その場合は「予定している便をリゾート路線や東南アジアなどに振り替えるなど柔軟に対応する」(同)としている。
貨物事業では、2月に設立した航空貨物会社「ANA&JPエクスプレス」に日本郵政公社も出資。現在3機ある貨物専用機を今秋には4機に増やし、2009年には7機まで拡充する。貨物線は企業の在庫調整による需給次第で運賃がぶれやすい半面、原油高などのコスト増を旅客よりも反映させられる利点がある。
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