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村上倒れても「ファンド」は加速

経営再建から大型買収まで本番はこれから

2006年6月13日(火)

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 「村上ファンド」

 連日のように、この言葉がテレビなどで繰り返される中で、ファンドという言葉は一般名詞として誰もが知るようになった。それは、村上世彰という希有な個性抜きには考えられない。

 村上が、昭栄の買収を目指して、TOB(株式公開買い付け)を発表したのは2000年1月。その2カ月後には、米リップルウッド・ホールディングス(現RHJインターナショナル)を中心とする投資組合が、旧日本長期信用銀行(現新生銀行)を買った。

 ほんの6年前とはいえ、敵対的TOBの例は事実上なく、ファンドへの認識も薄かった時代。そこに駆け出しの村上ファンドが挑んだ。そして、国際的には無名に近いリップルウッドは日本を代表する銀行を手に入れた。日本の「ファンド資本主義」の幕開けを象徴する事件だった。

 リップルウッドは「外資の乗っ取り」と批判を浴びながらも旧長銀を改革、新生銀行として上場させる。村上も「物言う株主」としての存在感を急速に高めていく。

 ファンドがこの時期に花開いた背景の1つに、世界的な金余り現象がある。

 昨年だけでも、カーライル・グループなどの米投資ファンドが、1兆円近い規模の新規ファンドを続々と立ち上げている。 銀行預金の利子がほぼゼロの時代に、ファンドに出資すれば年20%以上の配当が期待できる。高利回りを求めて資金は世界中を駆け巡り、中でも先鋭的な資金がファンドに流れていった。

「お金がうなるほど入る時代」

 村上のファンドにも4000億円近くが集まった。阪神電気鉄道株の約40%を握り、声価が頂点に達していた昨年10月当時、こう話している。

 「お金は世界からうなるほど入ってくる。そういう時代なんですよ」

 実際、村上ファンドの資金の6割を占めたのは、米国の大学財団だった。

 そして、ファンドの投資対象になる企業が日本にごろごろと存在していたことも見逃せない。リップルウッドや米ローンスターのような外資系は、過剰債務に苦しむ企業に目をつけた。

 一方、村上ファンドはむしろ「投資家が忘れた、あるいは実態が見えにくい上場企業」を標的に定めた。その基準は、株価が資産に対して割安で、解散価値を下回った状態であるPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業。あるいは設備投資の予定もないのに、現預金を長く豊富にため込む企業だ。

 株主価値向上が実現できていない、こうした会社に対し、大幅増配や自社株買いを迫り、株価を半ば強引に引き上げる。それが村上流だった。

 「株主価値の向上」。経営者は村上が繰り返した正論に震え上がった。


 大和総研の調べでは、日経平均株価が2000年以降の最安値をつけた2003年4月に、PBRが1倍以下だった企業は878社に上る。東京証券取引所1部上場企業の実に58%が1倍以下だった当時、村上にとって、市場は宝の山に映っただろう。逆に経営者から見ると、PBRが1倍に達しない責任を追及されると、反論するのは難しかった。

 だからこそ村上流を真似て、海外から新たなファンドが次々に上陸した。ユシロ化学工業やソトーから大幅増配を引き出した米スティール・パートナーズなどは、まさにPBR1倍割れに目をつけ、短期間で利益を上げる手法を強めた。

 村上流の定着は、経営者に規律をもたらし、増配などを打ち出した企業の株価が上がっていったのも事実だ。企業もIR(投資家向け広報)を強化し、株主対策を強めていった。その結果、PBRが1倍を割り込む企業数は、急速に減っていく。

 大証2部に上場する瑞光(大阪府摂津市)。生理用ナプキンや小児用紙おむつの機械メーカーである同社は1年前、村上ファンドが突如、大株主として登場した時、慌てふためいていた。

 だが、1年後の今日、当時対応策に奔走していた和田明男取締役は冷静な調子で言う。「村上ファンドが入ってきた昨年、初めて東京でアナリスト向け説明会を開いた。株価向上に努力すべきという当然のことに気づいた点で、村上ファンドは刺激になった」。

 2005年当初に900円台だった株価は、その年の10月に1550円まで上昇した(現在は1250円)。会社側は村上ファンドを苦にしなくなったのだ。

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